「ヨシムラ」×「マルハ」ダブルネーム コラボレーションマフラーRayo Veloz(ラヨベロス)
Concept / コンセプト
伝統のYoshimura(ヨシムラ)が造る2輪用マフラーが高性能であることはマーケットからは十分認知されている事で、これを4輪用に活かせないものかと思案する4輪屋は少なくないはずである。MARUHAが今回コラボを依頼するにあたり期待したのが、彼らのノウハウを存分に発揮できる4輪にはある程度の適正範囲あり、その中でも1.6L/1.8L自然吸気型エンジンを搭載するロードスターはまさにドンピシャではないか?と言う推測ではあるもののその適合性である。
2輪マフラーで君臨する彼らのフィールドを犯すことなく、そのまま技術と経験を思うままに投入頂けるエンジンであろうと、弊社長年の願いを託したのである。
4気筒、1.6L/1.8L、高回転まで気持ちよく回す。
アクセルはケーブルでペダルとスロットルがダイレクトに連結され、ドライバーの思いのままにスロットルが反応する。今どきのフライバイワイヤー(ECU制御されて、モーターでスロットルが開閉されるもの)ではなく、ズバンっと床まで踏み込むアクセルにワークを楽しめるのがNA/NBの醍醐味であり、軽快に響く排気音を肌で感じ取る。
ロードスターにとってチューニングマフラーは必然的であり、車も人もその快感を求めて思いが馳せるのである。
Rayo Veloz / 命名ラヨべロス
語源は歴史があり意味深い言語から成り立つスペイン語である。Royoは光・稲妻などを表し、Velozは軽快に速い様を表す。一言で言えば “疾風迅雷 /しっぷうじんらい”。
軽量NA6/NA8に軽いマフラーを装着して、軽やかにそして激しく路面を駆け抜けるイメージからラヨべロスと名付けた。
Material / 材質
*ステンレスパイプ
採用されたパイプは304ステンレス材。ヨシムラ製マフラーでは定番化されている安定したパイプである。十分な強度の反面、肉厚1.2mmの軽量パイプはヨシムラ製マフラーで日頃採用されているパイプであり、4輪用として敢えて用意される肉厚がある重いパイプなどではない。日頃2輪で使うパイプなのだからして、4輪に使えば軽量化になるのは当然の成り行き。肉が薄いと曲げも溶接も融通が効きにくく、難易度が上がる事を知って頂きたい。
この50.8mm-60.5mmの異径パイプによるハイブリッド化されたMIXパイプ径のコンビネーションこそが、存分にテストを繰り返し、総合的に判断をした結果である。
*フランジ
厚み8mmからなるステンレスのフランジプレート。
十分な厚みを設けて触媒熱による歪みを最大限回避しつつ軽量化も狙ったサイズとしている。
*サイレンサー
サイレンサーはSS(ステンレス)とSTB(チタン)の2種類から構成される。
どちらも板厚0.6mmと非常に軽量な仕様となっている。
巻き方は、ヨシムラ独自の変形トラぺゾイド。かつて4輪サイレンサーには使われた事はない独特な形状。一目でヨシムラ製だと分かるほどに美しく、軽快なデザインをしている。
両サイドのカバーは型からプレスされる専用品。この両サイドに膨らむアールを帯びたサイドカバーも一般通常品であれば味気の無いフラット鉄板で処理されてしまう。この点だけに於いても他社製と比較をすれば、その造形美に一旦を担うクオリティをお判り頂けると思う。
*サブサイレンサー
触媒直後のサブサイレンサーは、音量制御に欠かせない大事な要素である。
内部にはメインサイレンサー同様グラスウールが充填されて、消音効果を担う。車体下部のフラットでタイトなスペースに設置されるための、最低地上高も考慮された適切な直径でデザインされ且つメイン同様にリベット加工で構成される分解式となっている。
*ステイ
吊りゴム部ステイも本体同様にステンレス材が採用されている。
純正マフラーのステイパイプ径は10mmである。これに対してラヨべロスは12mm径。開発当初は純正同様に10mmであったが、最終段階で12mmに変更された。純正の吊りゴム
は10mmでも12mmでも対応ができるが、実際12mmの方が食い込み方が良い。ラバーにしっかりと食い込ませることで、マフラー振動を安定して抑え込むことができる。
また、狙ったポジションでマフラー自体を安定させる効果もある。
僅かな差ではあるが、マフラー自体が本来吊られる構造であるために、その姿勢に影響を与える根本でもある。今までロードスターマフラー市場では論じられたことの無いポイントとしても、ヨシムラの造詣学が滲み出る。 勿論ポリッシュ仕上げになっており、全体の輝きに支障が出ない仕上げである。
<ポイント>
Rayo Veloz(ラヨベロス)を装着頂く場合は純正ハンガーラバー(吊りゴム)を併用してください。
社外の樹脂に近い硬い吊りゴムは適合を取っておらず、且つ製品性能上推奨をしておりません。
*別売 関連部品
Silencer hanger
code:RF03-40-061 For NA用
¥495(¥450)
Gasket Behind the muffler catalyst
code:B690-40-305 For NA
¥748(¥680)
話はまだ続く。
サブサイレンサーからのステイはY字型として、溶接に於ける負担を分散軽減。溶接もサブサイレンサーのサイドカバーエッジに限定して、硬い箇所に溶接することで振動に於ける損傷をなるべく回避している。
これが、Y字でなく、I型であれば、溶接個所は1か所になりストレス負担が集中しやすく、またそれがパイプ部であれば尚更に振動によるクラックが入りやすくなる。サイドカバーエッジへの溶接であれば、分解OHの際にも支障にならない点も一挙両得的手法と言える。
ステイ溶接一つに於いても、その設計力の高さには脱帽である。
話はまだまだ終わらない。
メインサイレンサーのハンガーステイは、別に設けた専用バンド側に溶接される。このバンドが無い状態がこれ(以下)。
ツルンとしたスリムなシルエット、一見ロードスター様には見えない。これに一度ハンガーステイが装着されると以下の様なメカニズム的なボリュームを増す。
チタン巻のブルーの上に輝くステンレスバンドのコンビネーションが美しい。また、僅かに見えるブラックラバーは、実はシリコン製プロテクション。高温でも耐える素材が誂えられており、ハンガーステイとサイレンサーカバーの間を保護する役目がある。
大事なサイレンサーは後のOH対象箇所。常に後の事まで考えられた素材選択や仕様となっている。
最後の最後に、ハンガーはメインサイレンサーの中央からオフセットされている点にフォーカスする。
試作段階では、まさしくセンターにその支点を置いていたが、テールパイプのポジショニングを考慮して、その自重によるテール出口の僅かな変化(垂れ)さえも嫌い、意図的にハンガー支点を後方にオフセットさせてテール自重をカバーしている。
ステイ一つに於いても、これだけのノウハウと工夫が見受けられるのである。
*シリコンラバー
ステイの解説でも触れたが、メインサイレンサーとステイ用バンドの間にはシリコン製ラバーが介在する。金属同士の振動による擦れを軽減させる目的から採用されている。
シリコンは200度弱でも十分に性能を維持でき保護ラバーの役目を担う。高温環境で採用されるゴムとしては、最適な材料である。
*グラスウール
各サイレンサーに内臓充填される繊維はグラスウールと呼ばれるガラス素材からなる人工繊維。これにも各仕様があり、ヨシムラで採用される繊維は長繊維と呼ばれ。耐熱・耐久性が高く、排気熱や圧力による変形・固着を軽減させ長年に於ける使用を目的として採用されている。
グラスウールは多く詰め込む程に贅沢な造りと言うものではなく、設計・試験時で確認された最適な量をマニュアルに基づき充填されて初めてターゲットとする性能を発揮する。
ここで言及する性能とは、エンジンパワーのみならず、排気音にも大きく関係する。詰め込む程にグラスウールが過密になり、排気圧力(音)を振動させにくい方向に向い排気音は大きくなってしまう。音のコントロールはこんな些細な箇所からも変化が出てしまうほどにシビアである。
ここで、皆さんが少し疑問に思う点に触れてみます。
当社マフラー全体を一見すると、サイレンサーが他社製と比較をした場合、とても小さなものに見えるはずである。
“この容量で本当に音は抑えられるのか?”と疑問を持たれた方は少なくないはずである。
上述の通り、限られたスペ−スの中で適切に設定されたウールを充填することで音量・音質を制御できるのが、コンパクトでありながらストレート構造サイレンサーの最大の特徴なのだ。
*テール ダブルレイヤー
テールパイプ(出口)は、非常に大事な箇所になる。
先ずはその美観。車に搭載した時点から瞬間確認ができるのはテールのみである。態勢を屈んでサイレンサーを見れば、ヨシムラ製の際立つサイレンサーとそのエンブレムがドーンと目に入るが、一般的にはテールパイプに意識が先ず走る。
そこで、この部分には拘り抜いた。
これらのサンプルテールを見て頂きたい。
全て、オリジナルに新規作成されたもので、どれ一つとして汎用品などではない。
ヨシムラ・エンジニアはバイクマフラーのエキスパートである。4輪と異なり2輪のマフラーはほぼ丸見え。だから外観デザインには非常に高い意識の基で制作にあたる。日頃のノウハウから、ロードスターのイメージに合わせてサンプルが用意された。これも初期試作の段階で、この後に数種類に絞られながら幾つかの仕様変更を行い、現状に行き着いた経緯がある。
見た目重視だけではなく、実は出口形状で性能は変わる。
特に音への影響は慎重になってしまう。また、アクセルON/OFFでのピックアップやトルク感までも影響が出る。
凝り過ぎればコストも上がるし、重量も見逃がせないポイント。
つまり、そう単純な物では決してないと言う事なのだ。
・エンド重量は、増えることで破損にもつながる
・ステンレスで軽量マフラーにしたいというこだわりからエンドのパイプは、1.0mmの板材から丸めて新規パイプを製作し、今回のエンドと変化した
最終的にはダブルレイヤー仕様を採用。出口部は専用プレス型でアールを形成し、溶接と研磨で美しいラインを作り出している。
サイドからはMARUHA27のロゴをレーザーマーキングで誂えて、弊社オリジナル性を少しながらアピールさせて頂いた。
*スプリング&プロテクトラバー(分割構造)
この美しく流れるラインを形成するために拘った点に、差し込み式ジョイントがある。
全体を3分割構造にまとめて、各部を差し込みジョイントとした。 通常はフランジプレートを連結部の両側パイプに溶接をして、ガスケットを介してボルト&ナットで固定をする。頑丈に見えるが半面野暮ったい。作り手側は、このフランジプレートを使った方が簡単。互いの角度や位置関係はパイプをプレートに溶接する際に誤魔化せる。
しかし、これが差し込み式となると、話は全く異なる。
曲線を描くRayo Velozマフラーにして、この差し込みジョイント部は互いに正確なストレートでなくてはならない。そして嵌め合いには精度が要求される。簡単に言えば“非常に手間が掛かる”わけだ。
それを2箇所も設けているので、Rayo Velozの量産はヨシムラ社内でも手間の掛かるマフラーなのだ。
このインロー(差し込み) をレーシングスペックのスプリングフックで支持する。
振動により金属同士の摩耗・破断が発生してもスプリング側が破断する様にフックとスプリグの線径は調整されており、またラバーで更にスプリングを保護する念の入れようだ。
ラバー一つにも“ヨシムラ”の社名が見て取れる。この辺りの細かな演出にも手を抜かない姿勢や思想を感じ取れる。
更に、差し込みポイントにはアドバンテージがある。
その1は、軽量化。スムースなラインを描きながら軽量化に貢献している。フランジプレートの場合、互いのパイプのセンターが上手く合わずにボルトを緩めては、位置を調整するなどの手間を強いられる経験はないでしょうか? そんなものはヨシムラマフラーでは必要が無い。
その2は、振動に於けるクラックリスクの軽減。
リジッドであればあるほどに弱くてストレスが掛かる箇所のクラックが発生しやすい。差し込みジョイントはこう言ったリスクを往なす(いなす)工夫である。まさにピュアレーシングの技術を応用した事例と言って良い。
繰り返すが、これらの利点は手間の掛かる工程から生み出されるものだ。
Performance / 性能評価
*ダイノ性能グラフ
開発に於ける車両はNA6CE、NA8Cどちらも完全ノーマル車両である。排気系も純正エキマニ+純正触媒を基準としている。
開発段階では様々なパターンを試し、良い点・悪い点を洗い出し、総合的に市販仕様を見出している。
全てノーマル状態において、マフラーだけを変更することで飛躍的なパワーアップを望むことは難しく、エキマニ・触媒を見直すことの方が比較的容易にパワーアップを望める。しかしながらチューニングパーツとは常に相乗効果を得られる仕組みで、互いの性能を引き出せる点が実に興味深いところだ。
特にマフラーは、純正マフラーがエキマニ・触媒に比べれば平均的な性能を有する事からチューニングマフラーとの性能上の比較は難しいのだが、この差は実はチューニング度合いが進む程に顕著になる。
例えば、エキマニ+触媒、あるいは他エンジン系を効果的にモディファイするに連れて、ヨシムラマフラーの性能がより発揮される。
掲載グラフからは、中間域まではNA6,NA8共に純正と似た様なラインを辿るが、その後の後半に回転数が上がる程にパワー+トルクに差が生じる。言い換えれば抜けの良いマフラーでありながら、低速域のトルクは落とさない事が分かる。
この点は実に大きなポイントで、パイプ径を必要以上に太くしたり、出口を拡げることで迫力や期待感は限りなく増すが、性能と一致しないケースが多々ある。
市場のロードスターはエアクリ・エキマニなどが変更されているものの、エンジンは未だノーマル仕様なレベルはかなり多く、1種類のマフラーで総合的に網羅する為にある程度の落しどころを狙って開発が進められた。
各ポーションに於ける特徴は前述の通りであるが、それら以外にも性能評価の観点からはサイレンサーの内部構造は避けて通れないポイントである。
以下に内部がストレートパイプ構造のヨシムラマフラーと一般的な隔壁仕様のサイレンサーとの根本的相違点を説明する。
先ず、純正マフラーを含めて概ねのサイレンサーは隔壁仕様となっている。
狙いはグラスウールを使わず、排気を迷路状に通過させてエネルギーを奪う消音方法。
達成には大きなサイレンサー(容量がかなり必要になる)が必要となり、また排気効率の面や重量からは厳しい性能となる。
高出力の連続を繰り返す毎に、第一隔壁に高温排気が真面に集中し、サイレンサーの一部が焼けてもろくなる。上手く排気がなされていない典型的な症状である。
メリットはウールを使わず排気音を制御するため、グラスウール劣化などはなくなり基本的にメンテナンスフリーとなる。つまりソコソコのレベルで長く使うに適している仕様と言えるが、重い上に後のOHなどは不可。外観的にも美しいレベルになり難い。
JASMAの認定があれば車検前提では安心して使用もできるが、MARUHAが求めるエレガントな秀逸性とはかなりかけ離れる。
一方で、ヨシムラの作り出すサイレンサーは内部中央にストレートパイプ1本が走る。
ストレートパイプの一部にはパンチングが施され、その小さな穴から排気の一部は外側に押しやられる。その排気エネルギーはパイプを包むグラスウールが振動することで吸収される。これが消音の基本ロジック。ここにパワーとサウンドを作り出すノウハウが集約する。エキゾティックなサイレンサーはまさしくこれである。
基本構造としては内部ストレート構造のため、サイレンサーは軽量且つコンパクトにまとめられる。またパワーが出しやすく、特に高回転域になる程に伸びのあるエンジンパワーが期待できる。つまり高回転的なNA6CE/NA8Cのエンジンチューニングには余程適している。
確かにグラスウールには寿命があるものだが、長繊維の耐久性のあるウールを使うことで十分に長い期間に耐える構造になっている。たとえ劣化してもOHが可能であるので、実質的に長きに渡りRayo Veloz(ラヨベロス)をお使い頂ける。
Exhaust volume test / 排気音量試験
NA6.NA8の騒音規制をクリアするべく、検査は日本車両検査協会(VIA)にて実施。どちらの型も基準をクリアしている。
ただし、この基準クリアはノーマルエンジン・純正エキマニ・純正触媒を対象に実施されたものであり、他仕様に変更されている場合は、その都度の車検対応をお願いします。
また、経年劣化で音質に変化が出ている場合も、サイレンサーOHを実施し本来の性能に戻すようにご検討をお願いします。
Summary / 総合的要約
全体を3分割として構成されえており、それぞれがスリップオン(差し込み式)で接続される。基本的に材質はステンレス材、パイプもサイレンサーも肉薄であり、軽量・コンパクトなデザイン。溶接を含め総合的にハンドメードなる手作り工程が多く、職人たちが手掛ける作品と表現したい。小さなサイレンサーであるものの、パワーと保安基準をクリアする消音性を兼ね備え、まさに純正仕様からチューニング仕様まで幅広く対応できる様に設計されている。各部の更なる拘りについては、それぞれの章を熟読頂きたい。
Sound / 音質
音質は当然の如く拘りを貫いた。
保安基準に適合するための安定した消音性に加えて、いわば相反するエグゾーストサウンドの融合。比較的には静かかな、との印象は避けては通れないかも知れないが煩いマフラーでは今や市場からは理解が得られない。これは日本国内に留まらず、海外でも同じ事。Rayo Velozは第一回生産からすでに多くの海外ユーザーからも支持されており、その市場性は世界規模である。徐々に希少化が進むNA・NBロードスターオーナーの多くが、堅実なマフラーではあるものの人々を魅了する憧れの逸品を愛車に備えたいわけだ。
ヨシムラの造るRayo Velozはその期待に十分匹敵すると自負している。
Yoshimura craft / 製造技術
*試作に於ける3Dデザイン
最初に純正マフラーの軌道をデーター化し、その上で車体各部とのクリアランスまでも正確に測定をする。まさに今どきの3Dサンプリングから事は始まる。
この純正マフラーのラインはBESTなどであるはずもなく、大量生産上での妥協点は多い。これをクラフト仕上げで独自に作り上げるのだから、許される範囲内で自由に空間上にパイプを走らせる。これが3Dデザインの醍醐味。腕の見せ所である。
例えばこのラインを見て欲しい。
サブサイレンサーからデファレンシャル横を通過して、約90度曲がりながら、メインサイレンサーに入る。真直ぐに後方に伸びて、ギュンと90度に曲げる一般的なラインに比べ、
ヨシムラは一旦左側外側に逆反り、そして綺麗な円弧を描きながらストレートにサイレンサーに入るライン。見事に美しいラインを辿る。
サイレンサーも本来は、車体直進方向(垂線)に対して斜めに設置されるが、ヨシムラは敢えて垂線に対して90度を維持するサイレンサーポジションとした。綺麗なサイレンサーが車体に対してバランス良く配列され、且つヨシムラエンブレムが静かに睨みを利かせている。ヨシムラの存在は人を威圧するものではなく、誇り高いステータスを意識させる。
サイレンサーからテールまでのデリケートなラインもオーナーの方々には伝えたい。
他社製品の様な単純90度曲げのパイプが溶接されている分けでない。
サイレンサーを極力低く構えてテールビューの迫力感を演出する一方で、テール出口をバンパーの座繰りラインにバランス良く収まる様に微妙に縦方向にも曲げが加えられている。
これらの様に、デフとのクリアランスを僅かに拡げる、あるいはパイプに差し込み具合を配慮して僅かなストレート部のために全体のカーブラインを綺麗に収める。など随所に工夫と苦悩がみられる。この全ては3Dデザインから始まり、試作、試験、変更、量産にまで各工程に於ける精度とスピードに大きく関係する。
*試作・性能評価
試作→性能評価(TEST)→変更→性能評価(TEST)
これの繰り返しで製品化が進められる。これはどのメーカーでも同じ事であろうが、ポイントはどの位に拘るのか?である。
音に拘る、性能に拘る、コストに拘る、美観に拘る、ポイントは幾つもあり、それらを総合的に判断して行くのだが、実際のところコストよりも性能や音質、質感などの肌で感じるものを最優先させて作られた。
ヨシムラの音質チェック、マルハのパワーチェック。どちらのテスターも専用品で高価なものだが、上手く融合して使い分けができた。
MARUHAのダイノはイタリアDimsport社製の最新式ダイノテスター。細かな高速サンプリング機能に加え、常に4輪が回転する前後シンクロ式ローラー。これを細かに制御してより実走に近い走りを再現させる。
この設備は既に日本国内の有名チューニング会社やSHOP様でもお使い頂いている最新式テスターである。
より細かな差を見極めて、総合的にスペックを落とし込む作業に於いてテスターは必需品だ。性能評価無くして、パワー系アイテムの開発はかなり難しい、でなければおよそ想像や感覚のみで商品化されてしまう事になり、素性が分からないものをユーザーが購入する事になりかねない。
設計は3Dから始まり、性能評価も最新テスターで行う。至ってシンプルで確実な方法なのだ。
*量産に於ける苦労と拘り
細部までに拘った試作機を量産に向けて製造することはより苦労が重なる。試作段階ではより良いモノを求めてエンジニアもマルハスタッフも奮闘したものので、いざ量産となると造り勝手が異なる部位が出てくる。これを納めるのは結構骨が折れる。ことヨシムラに於いては各工程での手作り感が否めない。パイプカットからして、専属スタッフが丁寧に作業を進めて行く。要するに各工程でそれぞれの治具が必要になるのだ。これを機械化を進めてデーターでカット、曲げ、溶接と進めて行けば、ハンドメードの様な治具も要らず、人も要らない。量産とはその工場ごとに異なる見解としても、ヨシムラの量産は決して工業生産的な量産とは大きく隔たりがある。拘るマスターピースは一般的な量産では生み出すことはできない。
*量産時の治具製作
量産ともなると試作とは違い治具自体の耐久性や繰り返し精度等も踏まえて設計/製作となる。試作時で使用する3Dプリンターにより出力した樹脂製の治具とは違い耐久性のある金属での製作になる。実際に弊社製造部門で使用する工作機械に合わせた作りになるので、まさしく量産用となる。
治具製作は、パイプの曲げ・カット・プレス成型・溶接・ASSY組み・マーキング等すべての工程における治具をマフラー開発担当者が設計/製作することで、安定した製品造りの基本をしっかりと備えることとなる。
この様な体制は、まさしくヨシムラandマルハのコラボレーションが決して一時的な物ではなく、今後も安定して確かな製品をリリースする礎である事を物語っている。
Commitment / 拘り
*製造の於ける拘りポイント
まず各工程においてどのような治具が必要なのか、どのような治具を製作しようとしているかを開発担当者がまとめ製造課各工程のスタッフとしっかりとすり合わせをする。更に実際の量産作業者ともコミュニケーションを密にして治具の使い易さ等も考慮した製作を心掛ける。量産治具製作からしてかなりの時間と労力を要するわけだが、ここが基本中の基本。例外はない。
*品質管理
例えばテールパイプ突き合わせの部位も然り、実際量産ともなると1〜2個製作する
のとは違い繰り返し、且つ効率よく、また常に一定であり正確に作れなくてはならない。量産は目標生産数をはるかに超える数量であってもしっかり作れる事が出来るのか、なにか問題が起こらないか?等考えながら作り込まないとならない。
つまり、1次試作→2次試作→量産試作と段階を進めていくに連れて完成度を上げて行く必要性が生じる。
どの段階でも全力投球ではあるが、それぞれのステージで要求されるレベルが異なるわけなのだ。だから、ヨシムラに於けるマフラー量産とは決して安易なものではく、品質を裏付けするための準備は余念なく進められる。
Option / オプション・60mm Cat-Backパイプ
*性能に関するポイント(パワーの出し方)
排気効率とは、パイプ形状、パイプ径、サイレンサー内部構造などのいくつもの要素が影響して総合的な性能となる。
一方でエンジン仕様は様々なわけなので、1種類のマフラーですべてのエンジン性能に応えることは難しい。基本設定はどうしても純正(標準)仕様のNA6/NA8をターゲットとして、それに比較的優しいカムなどの想定が十分網羅できるスペックでテストを繰り返した。しかし、中にはマルハフラッグシップ的な2.1L仕様+4連インジェクションなる特別仕様も存在し、市場にはそれに匹敵する様な仕様、あるいは過給器付のハイパワー車さえある。
Rayo Velozマフラーの特徴の一つである50.8mm-60.0mmの異径パイプのハイブリッド化を敢えてALL60.0mmに統一することでハイエンドモデルへの対応を網羅する。
触媒後方のCAT―BACKパイプを60.0mm化にする事で、その効果は如実に表れる。
ただ、これはあくまでもハイエンドモデル仕様に於けるオプションであり、標準車には基本通りの50.8mmパイプをお使い頂きたい。
繰り返しになるが、ヨシムラマフラーは基本的にパワーが出しやすい構造になっている。
パイプ径やそのデザインは勿論の事、サイレンサー内部の構造とそのサイズはまさにヨシムラの真骨頂である。ズバンと突き抜けるサイレンサー内部のストレートパイプがまさに中間域〜高回転までのエンジン出力を引き出す効果を発揮。ココは一般的な隔壁型のサイレンサーとは大きく異なるのを再度お伝えしておく。
Repair / 修理
大事なマフラーをメンテナンスしながら長くお使い頂ける点も是非覚えて頂きたい。
サイレンサーのグラスウール劣化、あるいはカバーの外部からのダメ―ジ、などなど。長くお使い頂ければ、何かしらの劣化は避けられない。
これをヨシムラでは“リメイク”と称して、丁寧に対応をして頂ける。
例:
サイレンサーカバー交換
ウール交換
概要は以下サイトをご参考ください。
https://www.yoshimura-jp.com/products/cyclone/service
なお、Rayo Velozマフラーについては、リメイクの受付はマルハモータースになるので、先ずは弊社までお問合せをお願い致します。
Price / 価格
RayoVeloz Muffler/SSYOSHIMURA custom for NA6/8
code:1E0-648-5X50 For NA
¥198,000(¥180,000)
RayoVeloz Muffler/STBYOSHIMURA custom for NA6/8 Titanimu Cover
code:1E0-648-5X80B For NA
¥212,300(¥193,000)
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問合せください。
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