DIMSPORT(ディムスポルト)社製のダイナモメーター/A2ction(アクション)
日本総代理店 マルハモータース/27motorsports
車の進化は、まさしく制御の進化と言える。
ドライバーの意のままに操作すると言うのは随分昔の話で、どんなに車が横滑りをしても豪快にアクセルを踏み続ける事が出来た。
今は全く違う。
ドライバーの意志と制御を融合させてドライブするのが現代のあり方だ。
代表的なアイテムがスロットル。かつてはワイヤー連結でアクセルペダルとスロットルが直接連動していたものから、ドライバーのアクセルペダルの踏み具合を信号化し、見合った開度をECU(Electronic Control Unit)が判断し、モーターを使ってスロットルを開ける。場合によっては、ドライバーは全開でペダルを踏んでいても、実際のスロットルは80%程度しか開いていない。こんな状態でエンジンが回っているのだ。
更に細かにECUは制御をしている。
微細に各車輪にブレーキを掛けたり、4WD車の場合は前後のトルク配分を変えたり、実に多彩な機能を担っている。
一言で表すならば、“ECUは常に4輪を見張っている”という事だ。
つまり、一般公道を走行している状態と同一状況を再現しなくては、シャシーダイナモ上では正確にローラーを回すことはできない。
車が進化する。これに併せてシャシーダイナモメーター(以下ダイナモメーター)も進化をしなくてはならいのである。
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特徴:4輪がシンクロ回転する
先ず、冒頭に示した公道を走行する状態をローラー上で再現をするには、車両の駆動方式に関係なく常時4輪が回転しなくてはならない。FF車(前輪駆動)であっても後輪も同期回転をする必要がある。
これは今後のダイナモメーターに課せられる絶対条件である。
A2ctoinの最大の特徴と言える前後のローラーをシャフト連結機構でシンクロさせる技術がまさにそれである。後ローラー左端にトランスミッションを配し、そのギヤボックスをシャフトで連結させる機構だ。
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ローラーの回転をギヤとシャフトで伝える事で、前後のローラーは完全にシンクロをする。 このため僅かな回転差さえも生じず、公道走行状態が再現できる仕組みだ。
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ボックス背後にドレーンがあり、オイル交換作業は容易であるが、DIMSPORT社指定のオイルを使う必要がある。
特徴:クラッチ機構
常時4輪がシンクロする仕組みは、車両によっては不要な場合もある。
例えば、フォーミュラーの様な競技車両、特殊な車両形状により前輪がローラー上に位置し難い場合、アライメントやタイヤの状態が悪く4輪上で車両が安定して測定できない場合、
車体を適切に固縛(固定)できない場合、等それら状況化の場合はクラッチ機構を使い、前後ローラー伝達切り離し車体を安定させて測定することが可能である。
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ローラーとギヤボックス間に位置するクラッチはスラスト方向にレバーが作動し、ボタン操作で簡単にON/OFFが可能である。
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特徴:シングルローラー
A2ctionでは、シングルローラー(モノローラー)が採用された。
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シングルローラーの課題は、その大きさ(直径)と重量。
ローラーに求められる適切なサイズとは測定する車両によって異なるはず。
ある一定の重量は、パワフルなエンジンには軽すぎる場合があり、非力なエンジンには重すぎる場合もある。そこを如何にフレキシブルに対応するかがテスター性能となる。
A2ctionでは、車重とエンジン馬力のバランスを入力して、予めソフトウェア上でその特性をダイナモメーターに情報を与える。
これにより、ローラーの重量イナーシャだけでトルクを計測する、あるいはそれに電気式ブレーキ負荷を適切に追加しながらトルク計測すると言った複雑なプログラミング機能を備えている。
電気ブレーキ負荷は、高速サンプリングを繰り替えし瞬時にその状況化に於ける負荷を再現しなくてはならないが、それは連続するサンプリング中で計算されるもので、言い換えれば負荷装置にも事前準備が必要なわけだ。
無負荷のローラーにいきなりパワーを与えても、それに見合う負荷を瞬間設定することは難しい。だから、車重とエンジンのバランス情報を事前に与え、“準備 / チャージ”をさせる。
ここにローラー重量が噛み合う事で、非力なエンジンでも過度なブレーキ負荷を与えずにスムースな計測スタートが可能となっている。
この様な複雑なプログラミングや機能を達成するためにシングルローラーが採用された背景がある。
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ローラーには入念にロレット加工が施され、タイヤ接地に貢献している。
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高度にバランシングされた精度は言うまでもなく、シャフトとローラーの強度を保つためにその内部構造にも工夫が施されている。
電気式ブレーキとロードセル
重い車は加速によりパワーが必要である。登坂でもパワーがいる。その状況により必要とするエンジンパワーが異なり、これをブレーキ負荷使って再現する事ができる。
電気ブレーキとは、逆モーターの仕組みで、電流を掛けて軸に抵抗を発生させる。
ローラー軸上に電気ブレーキが配され、さらにロードセルが備わる。
ロードセルとは歪ゲージのことで、大きな力を電気信号に変換するセンサの事。
多重コイルを使い、回転バランスを損なうことなく大きなトルクを受け止める事ができる電気ブレーキ脇のロードセルを使いローラーに発生するトルクを正確に測定できる。
トルク測定をする上で最も肝心なポイントとなる。
連続運転をする上での課題が発熱。
ブレーキ脇のクーリングプレートは自助冷却のためのベンチレーテッド式とされ、且つ強制空冷式ファンも装備されている。
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フロアパネル スリットからフレッシュエアを取り込み、ダクトを介して効率良く送風される。
フレーム精度
前後ローラー部はフレーム構造化され、それをパネルでブリッジすることでテスター全体が完成される。 1つのローラーフレームは約1800kgに達し、かなりの重量構造。このフレームは極限に歪を排除するために特殊な工法で製造される。
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フレームの精度が悪いと、前後の兼ね合いが取れず、シャフトで連結することが難しくなる。
フレーム設置には水平器が使われ、アンカーを打つ際にも最新の注意が払われる。
シャフトはホイールベースに併せて伸縮可能であり、中間にサポート用ベアリングが設けられる。
設置時には、校正を掛けながら一直線上にセットされる。
この高い精度と技術により、A2ctionのシャフト式連結構造は保たれている。
1800kgもある重量フレームも高い精度に於けるレール設置上では、人間の力だけでも簡単に移動ができるほどだ。(後輪用フレームのみ)
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レール上に設置された後輪用ローラーフレームは、2本のアクチュエーターによってポジションを制御される。ソフト上でホイールベース値をインプットすれば自動でその値に前後ローラー距離を再現する。
本来このアクチュエーターのみで後輪用フレーム位置は固定されるのだが、さらに追加でダイノ使用時にはリヤフレームに固定されたサーボブレーキがレールエッジを銜えて機械的に強制ロックする仕組みも設けられている。
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ローラーブレーキ / 安全装置
ローラー軸上に設けられたブレーキは車両の出し入れ時にローラーをロックさせるほか、緊急時の安全機能としての働きもある。
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ローターをロックするアクチュエーターは、エア圧で開く構造。
つまり、緊急事態時にあるいはエアダウンのどの事態が発生した場合に、自動的にローターを噛み始め安全にローラーを停止させる役目を持っている。
シャフトとローター間にはダンパーが介され、ローターロックの衝撃や振動を和らげる配慮も施される。
フロントガイドローラー
シングルローラー上での車体設置は、常に車体を真直ぐな状態で正確に行われなくてはならない。
そこで、A2ction ではフロントローラー前方にガイドローラーを設け、車体がローラー軸に対して垂直セットが簡単にできる様になっている。
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ガイドローラーはアクチュエーターリフトを使って上下する。リフト揚程荷重は1000kg程度もあり、これを左右に配する。乗りかかっている車体を支えるには十分な揚程能力がある。
侵入時には一旦このガイドローラーに車体前輪を当てる様に侵入し、適宜ローラー位置を上げながら車体をゆっくりとローラートップまで引き戻す。
また、徐行速度での試走で更にアラインさせ、しっかりと車体の直進状態を確保させる。
クーリングファン
オプションとして大型ファンの用意もある。
良く使われる大型扇風機の様なものでは、強烈なパワーエンジンや連続運転では用を成さない。
しっかりとシステム用に設計されたクーリングファンを併用することは大変重要なポイントである。
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ファンのサイズは限られたダイノルームのスペースに併せて選択が可能であるが、推奨は11kw/50Hzの大型ファンである。
強烈な風量は言い換えれば実走に近い冷風の再現と言える。
システムに組み込まれたファンは、ドライバーが車中から操作ができる。
また、更にオプションの専用インバーターを使って、ローラースピードとシンクロさせることも可能だ。
スタート時にはファンもゆっくりと稼働し、速度が上がるに連れてファン風量も増す仕組みだ。常に実走に近い風量を再現ができて、様々なテストに取り組む事も出来る。
また、ファンスタート時に発生する過電流の抑制にも有効である。
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11kw/50HZの大型モーターは15kw/60Hzに相当する。
相当にパワフルなモーターであり、エンジン冷却にはかなり有効である。ON/OFFはドライバーがリモートで操作可能であるが、緊急時には強制的にボタン停止させることができる。
PC関連、ソフトウェア
A2ction専用に開発されたソフトウェアは同社の従来モデルとは全く異なるもので、完全に姉妹モデルなどではない。
高速サンプリング、OBD2シグナルの組み入れ、各種自動制御、Wifi機能を使った遠隔操作など、高機能で便利な操作性となっている。
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見やすい操作画面では、ホイールベースの調整、フロントガイドローラーの調整、ローラーブレーキロックON/OFF,クーリングファン、排気ファンなどのON/OFFなどは全て操作画面から可能となっている。
エンジンフード(ボンネット)を開けて、点火系統からのシグナルを取る必要もなく、一旦ギヤ比を条件つければローラー回転からエンジン回転数を自動で算出する。
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ローラーに設置されたエンコーダー機能とタコメーター上のエンジン回転数をシンクロさせて、エンジン回転数をはじき出す。
ボンネットが浮いているとフェールセーフが働く現在の車両には有効な機能である。また、OBD2からのシグナルでエンジン回転数をピックアップする事も当然可能である。
コーストダウン/ロス馬力測定
測定にはそれなりに時間が掛かってしまうもので、時間短縮は作業効率に於ける大切な事項である。
特にパワー測定の度にロス馬力も常に実施され、その都度ピークスピードから惰性で降下するローラー速度がいわゆる待ち時間となり、これを重ねると結構な時間数となってしまう。
また、ロス馬力の測定差で結果エンジン馬力に相当する計測馬力+ロス馬力に不安定要素となりかねない。
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A2ctionの新機能には、ロス馬力測定(コーストダウンテスト)の固定機能が含まれる。
最初にロス馬力測定を数回実施し、最も安定した値を保持・記憶する。以降この基本値が毎回のパワー測定に対して自動で加算される仕組みである。
つまり、毎回のパワー測定+基本ロス馬力=エンジン馬力となる。
従来のピークパワー→クラッチOFF→減速→ロス馬力算出と言った一連の待ち時間を省略化し、プログラムされたブレーキがオートで効き始め、短時間でローラースピードを停止まで制御する。ドライバーはフットブレーキを掛ける必要は全くない。
また、このロス馬力値は期日を跨いだテスト時にも再使用することも可能である。
データー集積
メインキャビン(回路盤)とは別体に設けられたデーター集積ボックスからすべてのセンサが接続される。
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接続可能なセンサ
1.ワイドバンド式AF計 x 2箇所
2.MAPセンサ(ブースト)計 x 2箇所
3.0-5V用信号 x 4箇所
4.Kタイプ熱電対温度センサ x 8箇所
*標準装備として、各センサx1個が備えられる。
この他にOBDポートからの信号も最大4系統(除くエンジン回転数/RPM)も別途含まれる。
パワー測定メニュー
ピークパワー測定の他に、スピード一定、負荷一定などのモードも備え、MAP編集でも有効なテスターである。
ロードシュミレーション機能では、実際に走行しながらAT,MTの変速機能やエンジン特性、トラブルシューティングなどにも使える。
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車体固定
従来の車両固定に使われているラッシングベルトはDIMSPORT社からは推奨されていない。
シングルローラーの安定性や安全面を考慮して、緩みのないマテリアルが検討された結果、ワイヤーとチェーンによる堅牢な固縛が採用されている。
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ローラー上での車体を確実に固定するために、前後・計4箇所からフックが行われる。
特に排気系はナイロンベルトの場合は熱による溶解の危険性もあり、ワイヤーを使うことで安全な作業を目指す。
これらの器材もA2ctionのキットに含まれます。
排気関連
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排気装置に関しては、システムに含まれない。
電源とエア
日本規格に対応したシステムでの納品となります。
その際に50Hz/60Hzの区分けが必要になるが、基本的に200V-3相交流が2系統が必要。
1. メインキャビン(ダイノ制御用 200V-40A)
2. クーリングファン(200V-詳細はその都度確認)
3. PC関連用 100V
4. コンプレッサーエア(常時7kmg-8kgm確保 / 要レギュレーター)
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200V用コンセントはアンペアに応じた規格品を賄う必要がある。
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ピット工事
地下埋没式の場合、以下のピットが必要になります。
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動画/DYNORACE A2CTION
詳細について
価格、納期、仕様については随時の確認になります。
基本的に日本国内での在庫はありません。全て受注生産(完全イタリア製)になりますので、その都度イタリア本国からの輸入品となります。
また、設置に関する状況は各場所に於いて様々になりますので、その都度ご相談に応じております。
弊社にも既に導入されているので、ご興味のある方(個人向けではありません)は、メールにてその旨ご相談をお願い致します。
セット価格・詳細
ご不明な点がございましたら、日本総代理店 マルハモータースまでお気軽にお問い合わせください。
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