MARUHA MOTORS

水冷オイルクーラーの威力

発売開始以来、大変好評なMARUHA(マルハモータース)水冷式オイルクーラーですが、その性能参考例をご紹介いたしましょう。

先ずは当社Newシャシーダイナモテスター(Dyno-Race)の登場。
4輪がシンクロする特殊機構(ESS)を兼ね備えている最新のテスターですが、その上電気ブレーキ負荷を掛けられ、実走行に近いロードシュミレーションを再現できるのも大きな特徴です。

ここに、2台のロードスターを用意。
どちらもセッティングを依頼された車両ですが、同時にオイルパンの温度を測定して如何に油温が上昇しやすいものかもチェックしたのです。


車両A・仕様

ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
  • ノーマルエンジン+4連インジェクション仕様
  • オイルクーラーなし
  • オイル : REDLINE モーターオイル(10W-40)交換済み

車両B・仕様

ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
  • NA8C BP-VEスワップ
  • 水冷オイルクーラー装備
  • オイル : REDLINE モーターオイル(10W-40)交換済み

どちらも過激なチューニング仕様ではありません。
しかし、この猛暑時期に全負荷走行でのローラーテストを繰り返す中、車両Bの油温がしっかりと安定していれば、かなりの冷却性能といえます。

テスターローラー上では、電気負荷を使いローラーへ強制的に抵抗を与えます。
スロットルは全開です。
ラジエター(冷却水)には大型ファンで風を送りながら冷却水温度は安定させます。

つまり、全負荷/スロットル全開、水温一定がテストの条件です。

巷で想像されやすい、水温と油温の“比例”は実際には異なります。
水温は一定でも油温は場合によってはかなり上昇してしまうこともあるのです。
これは、冷却水は必ずラジエターで冷却されますのである程度の温度で保てるのですが、オイルに冷却装備が無い場合は、エンジンの出力が一気に上がる際(加熱)にエンジン内で潤滑するだけでは、油温は安定する術がないのです。
水温メーターだけを見ながら、水温が一定なので多分油温も大丈夫だろう?と思い込みをしていませんか?
ところが、オイルパンの中はとんでもない事になっています。

オイルパン内に温度センサ設置

ロードスター水温センサアダプター

オイルパン内の温度は、オイルレベルゲージの代わりに温度センサを挿入して計測します。
まさに煮えたぎるオイルパン内の油温を実測しているわけです。

車両A・TEST状況

ロードスター水温センサアダプター

セッティングを開始して間もなく、油温がドンドン上昇してしまいます。
オイルは100%化学合成のREDLINE。
大変高性能でMARUHAでは長年使用している最高級オイル。勿論交換直後です。
B6ですから、車両Bに比べて出力も劣っているのですが、オイルパン内の油温度は上昇の一途。
摂氏120度近辺でこれ以上の上昇を嫌い、セッティングを小休止。
無理に続けていれば、さらに上昇する傾向にあります。

ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター

車両B・TEST状況

ロードスター水温センサアダプター

NA8CにBP-VEスワップ。
今ではMARUHA定番メニューになりつつある仕様ですが、B6に比べて圧倒的にパワーが出る仕様です。
そこに、MARUHA水冷式クーラーを装備。
水温は90度前後で一定です。
加えて油温も+10度程度の狙った位置で安定しています。
つまり油温は100度〜105度辺りで安定しています。

ロードスター水温センサアダプター
ロードスター水温センサアダプター

コンセプト・水温プラス10度

水温を利用して油温を下げる(場合によっては暖める)システムなので、水温と同等にはなりません。
しかし、水とは異なりオイルは直接エンジン内の各部を潤滑するものなので、完爆の為には安定した温度が必要なのです。
水冷クーラーの狙いは水温+10度。
この狙った範囲で安定してオイルが管理できるように配慮されています。

水冷クーラーの威力

ラジエターは殆どの場合、一定の温度で保もられています。
サーモスタットの開閉で設定温度に差は出ますが、実際に温度一定と言う事はラジエター自体に容量は余っていることになります。
この部分を利用してオイルを冷やすわけで、オーバーヒートにはなりません。
また、水温が高くなるので?と心配される方もおりますが、水温も油温も発生熱源は単一エンジンです。
オイルを冷やすことで、エンジンを冷やすことになります。
結果水温の上昇も抑えることが出来ます。

つまり、水冷クーラーを使うことで、いきなり水温の上昇が始まりオーバーヒートに至る事はありません。
また、仮にオーバーヒートになるのであれば、本来から冷却系統に何かしらの問題が生じており、関連症状が発生している可能性が極めて高い事になります。

オイルの冷却を空冷に頼る場合は、コア設置位置にも関連しますが、基本的にはラジエターには負担を掛けないことになります。
一方で走行風とエンジン回転数の関係や、外気温などに大きく影響を受けてしまい、一定の温度を保つことが難しくなります。

限られた室内(シャシーダイナモメータールーム)での負荷付シュミレーションによる温度チェックは実際にかなり厳しい環境といえます。
それら条件の中で油温を一定に保てることが実証できた事で、MARUHA水冷クーラーの高性能振りをより分かりやすく皆様にご提案できる良い参考例と考えます。

ジムカーナでの実走例

NA8Cの2.1Lエンジン搭載車。 パワーは220-230PSを誇ります。

頻繁にジムカーナ競技会に参加されるユーザー様で、今回空冷式クーラーを外し、MARUHA水冷クーラーを装着頂きました。

月日 : 2010年9月19日
場所 : 富士スピードウェイ ジムカーナ場
気温 : 29度

社外メーターを装着し、水温と油温をチェック。

走行前(勿論エンジンはしっかり温まっている) 走行直後(走り終えた直後に温度を再チェック)

  走行前 走行後
  水温 油温 水温 油温
午後1本目 85 80 90 93
午後2本目 85 87 90 97
午後3本目 84 87 90 97
午後4本目 87 88 91 98

結論

ジムカーナは、高回転・低スピードが基本で、エンジンには大変な負担が掛る競技です。
その為、空冷クーラーなどでラジエター前を塞いだり、あるいは外気温度に油温が左右されることは、避けたいところです。
MARUHA水冷クーラーの意図する水温+10度のコンセプト内にしっかりと当てはまることが実証された一例です。

パワーのあるエンジン・真夏のFISCO・ジムカーナ競技・これら厳しい環境の中で、安定した油温を確保できた成果は大変大きいと考えます。


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