マルハパワーロッドH-BEAM マツダロードスター
パワーロッドの設計デザインをH-断面に変更し、新しいバージョンを設定いたしました。
今回のパワーロッドは従来のチューニング用ロッドとしては並外れた低価格に設定をしております。
Connecting rod for std stroke H-beam
code:mar07053100 For NA8NB8
¥129,800(¥118,000)
コンロッドの概要について:
エンジン内部の中で最も過酷な条件で酷使されるパーツがコネクティング・ロッドであると言われています。
コネクティング・ロッドはエンジンチューニングにおいては、欠かすことの出来ない非常に大切なアイテムなのです。
高回転化やパワーアップによるストレスはまともにコンロッドに掛かります。 曲がったり、歪んだり、折れたり、エンジンブローの大きな原因に成り得るロッドの破壊はチューニグに於いて慎重に対処しなくてはならないトラブルと言えます。
コネクティング・ロッドダメージの延長にメタルベアリングがあります。
メタルベアリングはメインジャーナル用とピンジャーナル用の2種類に大別されます。
そして、より過酷な状況で機能させなくてはならないのがピンジャーナル。
つまりコネクティング・ロッド側に使われるメタルベアリングなのです。
クランクシャフトの修正を施し、各部のクリアランスを最適に管理し、油圧や油量を確保し、ピストンのフリクション低減に努め、細心の注意を払ってエンジンは組み上げられます。
ところが高回転化やパワーアップに伴い、配慮だけではどうにもならない現象が起こってしまいます。
代表格がコネクティング・ロッドの変形。
ロッド大端部の真円は高速で上下するピストン慣性力で変形(楕円化)を起こし、楕円化した大端部内側に位置するメタルベアリングに大きな影響を与えてしまいます。 クリアランスが絶えたベアリグとクランクピンは互いに接触を起こし、メタルのダメージを引き起こしてしまいます。
また、変形によりメタル背面に発生する隙間にオイルが流れ込み、合わせて発生する振動との関連でフレッティングが生じます。
メタルは内外で傷められているのです。つまりエンジンチューニングにおいて、ロッドの強化は必要不可欠なものなのです。
- H−ビーム
今回設定されたパワーロッドはH型断面を採用しました。
座屈強度に優れ且つ軽量化を図った設計となっています。
ネック幅は、重量と強度のバランスを取りながら1mm単位でシュミレーションされ、実際のテストを繰り返し最終決定されています。
軽量化と剛性は相反する要素であり、バランスを取りながら設計されています。
軽量化だけに集中せずに健全にパーツを設定する難しさがそこにはあります。
マルハ・パワーロッドは純正ロッドに比べ約80gの軽量化(約460g)を実現していますが、僅か数グラムを削りだす為にロッドメーカーのエンジニアと何度も強度検討を繰り返した程です。
- 強化ボルト :
世界的に定評のあるARP社(USA)#2000ボルトを採用しました。
しかも軸径を太くし確かな強度を確保しています。
ボルトの首下からは軸径を細くしたウエスト軸を採用し、ボルトの伸びを的確に管理し精度の高いテンションを実現しています。
大端部キャップの合わせ部も強度と軽量化を備えたマシニングが施されています。
大端部のショルダー、サイド、ボトムは各部最適な肉厚と形状にデザインされています。
キャップはボルトでロックさせる構造とし、ロッドショルダーは滑らか曲線形状となり剛性を向上させています。純正ロッドはキャップをナットで固定させる為ショルダー部に滑らかさを得られ難い形状となっています。
キャップの位置決めには高精度のノックピンを採用し、ガッチリとロックさせています。
この様な確実なポジショニングはフレッティングなどの振動に対応し、メタル荷重の均一性を向上させています。 - 排気上死点でのストレスについて:
高回転で回るエンジン。
ボア径、ストローク、メタル幅、圧縮比、点火時期、出力など一般的にはパワー(爆発)に対する配慮としてロッドの強化を考える人が多いのですが、それ以外にも考えなくてはならないのが,排気上死点でロッドのストレスです。
排気上死点とは、燃焼室内の爆発の後、勢い良く下がったピストンが今度は排気工程の為に一機に上昇する、その時のトップ位置を表します。排気工程が終わり、今度は吸入工程への移り変わりのポイントになります。
圧縮上死点であれば、ピストントップに圧縮圧力と言ういわばブレーキが発生します。
ところが排気上死点の場合は、これらブレーキがないので勢い良く上昇するピストン慣性力は上死点後もそのままロッドを引きちぎり、エンジンへッドを貫通して上方に飛び出そうとしています。
そこをクランクシャフトが無理に下方に方向転換させている状況。
それが排気上死点の状態です。
ピストン重量が増したり、回転数が高くなるほどコネクティングロッドに掛かる負荷は増大し、大端部の変形やネックの破損に繋がって行きます。
開発中のBP2.1L用エンジンや他サーキットアタックエンジンにも同様設計のロッドがテスト採用され、問題なく機能しており、高いクオリティをサーキットトライでも実証しております。 - 小端部:
小端部はブッシュを介して,フローティング加工されています。
内径は純正ピストンと同サイズとしているので、基本的には20mmのピンを使っているピストンであれば併用も可能です。
小端部トップにはすり鉢上のオイル穴を設け、滴下するオイルで潤滑させます。 - 重量バランス: 全体的な重量管理の他に、小端部、大端部を個別に管理しているのもマルハ・パワーロッドの特徴です。
一般的には単体重量で管理します。 しかし厳密にはロッドはエンジンに組まれると、大端部はクランクピンと結合されます。
小端部はピストンピンを介してピストンと組まれます。
つまり、慣性力の観点からはクランク側とピストン側に分かれて作動するので両端での個別バランスが大事になるわけです。
説明してきました精度、性能を踏まえマルハが如何に低価格にも挑戦しているかがお分かり頂けるものと思います。
是非、ご検討ください。