MARUHA MOTORS

マルハモータース テクアド M2 1001のエンジンオーバーホール For Roadster

テクアド M2 1001のエンジンオーバーホール(2005/3/25)

メタル

中古車市場でも今尚人気の高い限定モデル、かつてのM2から販売された1001、1002、1028。

特に1001と1028に関してはそのエンジン特性に魅了されているユーザーも少なくありません。
決して過激ではないストリートユースのエンジンではあるが、メーカー系チューニングの
姿勢が伺われる内容ではある。

排気量も変更はない、何か特別で高価なパーツが使われている訳でも無い。
けれども、それら限定車の為にだけ個別に用意されたパーツが幾つか使われている。
一言で言えばバランス重視の様なエンジンである。

しかし、現在はM2も存在せず、使われている専用部品の殆どの入手が難しい。
1001や1028と同じエンジンを通常のB6やBPから再現する事は出来ないのである。
パワーだけを言えば、これらM2エンジンを凌ぐパワーを搾り出す事は何も難しい事では無いのだが、限定車の"オリジナル"と言った観点も含め、今さらながらにパーツに拘り再現する事がある。

さて、今回1001のO/H依頼が有ったため、折角の機会なので断片的ではあるが01エンジンの特徴を抑えながら紹介して見たいと思います。

作業に入る前に、先ず確認しなくてはならないのがパーツの手配である。
パーツの手配でO/Hの現実性が見えてきます。
オリジナルを活かしながらリフレッシュするのであるから、変貌していは意味が無い。

先ず、ピストンから。
残念ながら、製造中止。
メーカー在庫も無く、再使用部品となります。
幸いな事にリングは他車種からの流用のため、現在も生産対象となっている。
そこで、リングは交換しながらも、ピストンは再使用と言うメニューで作業に入る。
他、クランク、メタル、コンロッド、ガスケットは通常のB6と同じ。
カムとカムプーリーは専用品で、当然再使用。

つまり、ポイントになるのはどうやら、ピストンと言う事になる。
分解の際から、再使用を意識して丁寧にシリンダーから抜き出さなくてはならない。
トップの淵回りにカーボンが蓄積し、これらを丁寧に除去。勿論シリンダーになるべく傷を付け無いように配慮する。
カーボンを綺麗に取り除いておけば、ピストンはスンナリと抜ける。
強引に抜き出せば、ピストンスカートにも無駄な傷が入る。
これでは意味が無い。


メタル
メタル

抜き出した所で、一旦洗浄してから現状のクリアランスを測定する。
ここで、少しでもホーニングの余地が残っていれば、大変ラッキーである。
1・100mm程度のごく僅かな再ホーニングであっても、効果は大きく異なる。
シリンダーの内壁の仕上げでエンジン性能は大きく左右されてしまうからです。

次に、ピストンの再生処理。
ブラシでこすって洗浄ではちょっと物足りない。
そこで、マルハでは再生のためのW処理をかける。
仕上がったピストンは外寸の変化も殆ど無く、また極めて綺麗な仕上がりとなる。
今まで使われていたピストンなので微妙なプロフィールが馴染んで来ている。
そこで更に処理をかけるのであるから、大変スムースな機能が今後期待できるのである。


メタル
メタル
メタル

ここで、しっかり管理しなくてはならないのが、最終的なピストンクリアランス。
再ホーニングとピストン処理により、互いに広くなる方向にクリアランスが変化してしまう。だからこそ、狙った所で管理をしなくてはならないのです。
通常は、ピストンを再使用せずに、0.25MM程度のオーバーサイズを使う。そうするる事で、適切なクリアランス管理が確実にできるからです。
今回の様にピストン再使用は管理が難しく、場合によっては過大なクリアランスになってしまう可能性もある。


メタル

大変、気を使う仕事になるのである。


メタル
メタル

ヘッドの加工処理は丁寧にされている。
カーボンを落としたままの画像です。
チューニングとしてはもう少し拡げたいポート形状でもあるが、リフレッシュならば十分な仕上がりだ。
当時マツダスピードBスペックなるメニューが有ったが、1001のエンジンの方が時間を掛けて仕上げてある様に思う。

腰下が組み上がった所で、ヘッドとのドッキング。
ここで、カムシャフト。


メタル
メタル

カムプロフィールの実測では:

メタル

リフト量 : IN 8.43mm  EX 8.43mm
作用角は IN/EX共に252−256度の範囲内と思われる。
丁度マルハのFカムに近いスペックであり、ほど良い回り方を考えてのプロフィールです。


メタル
メタル

良く見ると、なんだかオリジナルティが無い、と言うよりは明らかに他社種からの流用カムの様に見受けられる。
専用品として作られたのであれば、プーリー等の位置関係ももう少しシックリ良さそうなのだが、特にEX側に無理が少し残る。
バルタイが上手く取れないのである。
こう言った所から、専用品と言うことでは無く、流用品だったのだろうと伺える。
勿論カムの部番は専用品であるし、価格も当時の定価は76,500円とうな垂れる金額である。

プーリーもEXだけが専用の部番を取ってある。
が、良く見ると別段いつものプーリーと同じもの。なのだが、違いはタイミングの合いマークポイント。
従来の溝をなだらかに削り落とし、新たに1コマずらした所にポイントを設けてある。


メタル

カムプーリーのホワイトペイントを2箇所印した。
上側が純正プーリーの合いマーク位置。下側が1001専用の位置となる。

専用に作られたカムシャフトであれば、プーリーはそのままで良かったはずである。
ところがプーリーに1コマずらしをしなくてはならなかったのでは、流用カムのため、ノックピン位置が変更できなかったのであると考える。


メタル
メタル

通常はINもEXも同じプーリーを使う。
重ねてみれば、合いマークの1コマズレが分かる。

兎にも角にも、ポイントを抑えながら、再生させる仕事も面白い。
当時のエンジニアの考え方を今になって検証して見ると、そのころの苦労や裏話がエンジンを通じて聞こえてきそうな感じである。

他には簡単に手に入らないエンジンなのだから、大切な1機である事に疑いの余地など無い。

今回の文中で、マルハが組み込みこんだ際の詳細データーは伏せておきます。
クランクの修正、ラッピング、メタル管理、ピストン管理、個別バランス、バルブ当たり、カム特性、バルブタイミング、等。
僅かな所まで配慮しながら組み込むので、データーの管理は大切なことです。
コレは、各チューナーが各自の判断で行うポイントでもあり、整備解説書だけで解らない所もあるのです。
基本O/Hと言ってもそれなりにやり方があると考えてください。


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