テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド  軽量フライホイール

夏 真っ盛り〜。
デロデロデロ〜。 ヘロヘロヘロ〜。 

日本全国、猛暑の嵐である。

男マルハ、体育会系。
ねじりタオルで猛暑に対抗・・・できねェ〜。

実は倒れそうである、グェグェグェ〜 。
実は死にそうである、ムギュムギュム〜 。
幻聴じゃぁ〜。体調わるぅ〜。帰っていいかなぁ〜。

休み前の仕事が山積み。
指折り数える夏休み。 本当に取る事が出来るのか?。

・・・・休み数日前。
本工場奥 ロータスSr3、光岡01、ケーターハム1700ss。
前列 ポルシェ911、ジャガーバンデンプラス、我らがロードスター。
中央メインにダイハツハイゼット。
この見事なアンバランスにお客様一同、“すげぇー変わった店だなぁ〜”
(好きでこうなっているわけではない、自然と色々な車が集まるのだ)

私の単純質問。 “コレぜーんぶ休み前に返すのか?” 
番頭M曰く、 “何言っちゃてるんですか。 この他に車検、点検、ロールバー、エンジンの載せ換え、まだまだありますよ。”

“・・・ !!! ” 返す言葉が見つからないのである。


加えて 通販の全国発送。
NEWパーツの企画、設計、製図と更にダメ押し。

テクアドをサボるわけである。
読者の皆様には誠に申し分けないのであるが、サボりたくもなるのである。

祝100話の更新日が7月初め。

ダ〜ぁ!!!。 サボり過ぎ〜。
っと思いきや。 先週101話をアップしたではないか。
忘れておった。
ならば まだサボれる?? 

世間はそんなに甘くない。ここは定期アップに努めるようにしよう・・・。
皆様に喜んでいただけるなら。
ついつい書いちゃう 悲しい性格。 

休み前にNA8Cの純正フライホイールが確認できたので、紹介しよう。

(この原稿は休み前に書いた物であるので御了解頂きたい。)

2つの純正フライホイール(以下F/W)。 NA8C用純正品。 もう一つはNA8C(Sr-2)の軽量型純正品。

  
 左 Sr-2 右 Sr-1 
   
 
 右 Sr-1 左 Sr-2
リングギヤ内側の肉厚が異なる。

 
肉厚の違いがお分かりでしょうか?


何かとユーザー同士の話の中でシリーズ2のメーカー製軽量F/Wが登場する。
“ Sr−2のF/Wは軽量型になっているらしい。 安く手に入るのならその手もありか?”なんて話が膨らむ。

いい機会だから、皆さんに実態を紹介。

先ず、気になるウエイト。
マルハでの計量なので多少の誤差はご勘弁。

Sr-1 : 8.9kg Sr-2 : 8.0kg

約1kgの軽量化である。
形状は互いにほぼ同じではあるがSr-1の加工品ではなく、専用に作られたものである。
リングギヤ内側の肉厚が薄くなっている。 他には特に大きな違いは見られない。

簡単に結論つければ、Sr-1のF/Wを1s以上軽量加工すればSr-2用のものよりは軽い事になる。
加工費かSr-2中古品価格かの天秤。
長い間 Sr-2用が気になっていた諸兄にはすっきりする掲載内容かと思う。

さて、F/Wの軽量化は誰もが気になるところ。
どの程度 軽量するのが良かろうか? かと言って市販のものは大体が超軽量タイプ。

4kg前後。純正F/Wの約1/2の重量となっている。
軽量化すると回転の動きにメリハリが出て大変面白い。
鋭い吹き上がり、ピックアップの向上。 特性が大きく変化して楽しい。
一方で軽量化し過ぎてトルクが痩せがちな所を嫌うユーザーもいる。
コレは少し誤解がある。

ご理解頂きたい点は、あくまでも使い方によるのである。
通勤型には軽量F/Wは正直必要ない。
渋滞、ノロノロ運転、低域回転数常用。
断然 重いF/Wが楽である。(有利ではない、楽なのである。)

軽量F/Wやメタルクラッチなどは使い方が多少難しくなる。
ただし、慣れればどうって事は無いが、(ここでは公道向けチユー二グの意味だぞ)
クラッチミートが難しくなり、回転の落ち込みも速いので、エンストし易く、ギヤチェンジの際の回転の合わせにコツがいる。

慣れれば、誰にでも運転できるレベルなので 神経質にならぬよう お願いしたい。

一方で軽量F/Wの恩恵も大きく、回転上昇が鋭くなり、またエンジンブレーキの効き具合も各段に良くなる。
トルクの落ち込みと誤解される背景は簡単に説明すればこうである。

重いF/Wは回りだすのはノロイが、回り出せば慣性が強く簡単には勢いが収まらない。
つまり 滑らかに加速するのである。
軽量型は軽い分だけ回り出しが軽い。
但し、エンジンの回転数に影響されやすいので、アクセルワークが難しくなる。
特に発進時は、エンジンに負荷をかけるクラッチミートの際に負荷分を軽量F/W慣性が補う事が難しく、エンストし易い。 

エンジン出力のピークトルクにはF/Wによる違いは見られない。
レースの様にアクセル全閉から一気に全開などの状況下ではやはり軽量F/Wは必要不可欠である。

大事な点がもう一つ。
F/Wをエンジン回転のバランスに使う観点から考えると、重いF/Wの方が安定感はある。
ハイカムと軽量F/Wの併用でアイドルがバラつくエンジンも良く見かける。
ロードスターに限った事ではない。
4気筒エンジンはバランス率が格段に良いわけでもなく、燃焼室の爆発はドコドコとムラに起こっているわけで、
V6、V8の様な滑らかさは求められない。
このドコドコ感を重いF/Wを介する事で静かに回そうとするのである。
回転慣性モーメントの平均化とでも言えよう。

クランクシャフトのカウンターウエイトも同じ理屈で、ロッドやピストンが偏芯運動するためにバランスを補うように
反対側に採られているオモリである。
バランスウエイトの設計はクランクピン側の体積とロッド大端部のバランスされた重さの合計を対象にされるとの事ではあるが、
つまりは相手があって初めて必要とされるカウンターの重さが決まるのである。
それ故に無闇にカウンターバランスを崩すようなクランクの軽量化は振動を招き、
耐久性を低下させ悪いチューニング例となりがちである。
バランスが悪く、振動を引き起こしメタルは流れ、パワーも出ない。
車のパーツは何でもかんでも軽量化が望まれるものではなく、必要によってはそれなりに重いものが適正されるのである。

最後に:
では軽量F/Wはもし任意に自分で決める事が出来るとしたら、どの程度の重さが良いのであろうか?

市販の4kg台も良かろうと正直思う。ただし、サーキットチューニングの観点からである。 
通勤に使う方にはもう少し重いF/Wが使い勝手はよさそうだ。

そういった意味では、心地よいストリートチユーニングが前提として、
Sr-2の1kg減純正F/Wも格安に入手できるのだとしたら使ってみる価値はある。。
欲張ったオークション価格で高く設定されていたとしたら、純正Sr-1用を軽量加工した方がスマートであろう。
僅か1kgなのであるが、効果はあるし、特性の変化も体感できる。

ミニサーキット、本格的サーキットでは断然 チューニング用の軽量型F/Wが有利である。

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