MARUHA MOTORS

バルブ・タイミングを考えてみよう

バルブ・タイミングの調整/確認はエンジンを作るうえで欠かすことのできない大事な工程でもあります。
2005年に発表した可変バルブ・タイミング機構対応のカム作動も含めて、バルタイの基礎から考え方をまとめて見ました。

先ず、バルブ・タイミングの基本から話をしましょう。

バルブ・タイミングはスライド・カムプーリーや純正プーリー加工などで調整しますが、その際にバルタイを進める/遅らすなどと表現します。

具体的に進める/遅らすとはどの様な事を表すか? と言った基本的な部分も含めてバルブ・タイミングを説明します。


マルハのスライド・カムプーリ。
この様なスライド式プーリーを使ってバルタイ調整をするのが、一般的だ。

1. バルブが開閉する仕組み

ロードスターのエンジンはB6、BP共にDOHC型(ダブル・カムシャフト)の機構となっています。
クランク・シャフトとカムシャフト(IN・EX)はタイミングベルトで連動します。
4サイクルエンジンは、吸入→圧縮→爆発(燃焼)→排気の4工程を繰り返します。
4工程はクランクで言えば、2回転になります。カムは1回転で4工程中の吸気と排気を担います。
従い、クランク・シャフトが2回転でカムシャフトが1回転するギヤ比になっています。

タイミングベルトを10万キロ程度で交換推奨しているのはこのためで、ベルトが切れたりコマ飛びが起こると、クランク・シャフトとカムシャフトの位置関係が崩れ、エンジンは停止し、場合によってはピストンがバルブをヒットする重大なダメージに?がるからです。

2.バルブ・タイミングって?

バルブ・タイミングと言う言葉は良く聞く言葉ですが、簡単に言えばピストンの位置に対して、どのタイミングでバルブを開け閉めするか、その位置状態を表すものです。

全分度器をクランクに取り付けて、ピストン位置を検出する。

同一カム角であれば、バルタイを変化させても、バルブを開く時間は同じです。
その時間をどのタイミグで作動させるかはスライド・プーリーなどを使って調整するのです。


センターディスクを右回転させると、"進める"と言います。
IN側の場合は、バルタイ数値が小さくなります。
EX側の場合は、バルタイ数値が大きくなります。


センターディスクを左回転させると、"遅れる"と言います。
IN側の場合は、バルタイ数値が大きくなります。
EX側の場合は、バルタイ数値が小さくなります。

先ず規準になるのが、ピストン位置。例えば、IN側(吸気側)のカムについて。
(例 :252度カムとする)
ピストンが排気上死点(TDC)の位置(0度)からカムを押し始めれば、ピストンが吸入工程に入り下死点(BDC/180度)を通過してもまだ、バルブが開いています。更に下死点後72度回った所でバルブが閉じます。その間、ピストンはクランク角で252度回転しています。


スライド・カムプーリーを使ってカムを変化させます。10度進めたとしましょう。
今度は排気上死点手前10度からバルブが開き始めます。バルブが閉じるのは下死点後62度のポイント。


ピストンが上死点手間A点(例:クランク角10度)から
バルブが開き始める様子。

前者、後者共にカムは同じ252度だから、作用角(バルブを押している時間)は同じ。
けれども、バルブ・タイミングは変化しています。

ちょっと、分かりましたか?
つまり、ピストン位置に対しカム位置を決めているのです。そこで使われるのが、中心角、
あるいは最大リフト角。
カムシャフトがどの様にエンジンにセットされているのかを中心角や最大リフト角で表します。

3.中心角と最大リフト角

どちらも、どの様にカム位置がセットされているのかを具体的に数値で表すものですが、両者はちょっと違います。

中心角 :

IN側であれば排気上死点(0度)を規準にそこから何度のところで、カム作用角の中心になるのかを表す手法です。
252度カムで、上死点手前10度で開き始めるカムは下死点後62度で閉じます。252度の半分は126度。
しかし、その126度目は上死点から右回りにカウントすると116度目になります。
つまり、この場合は中心角116度と表します。


EX側に252度カムを使う場合、燃焼(爆発)下降中の下死点前62度で排気バルブが開き始めるようにセットすると、排気上死点後10度で閉じます。
IN側と同様に、上死点0度からカウント(但し左回り)するので、中心角は116度と表します。

この時のオーバーラップは10度+10度で20度となります。
オーバーラップとは吸気バルブと排気バルブの両方が開いている状態を言います。

測定方法 :

通常は1mmリフト法を使います。
リフター上部にダイアルゲージ端子を当てて、クランクを回転させながら1mm沈み込んだ時点をクランク角カウントの始まりと終わりに使います。
1mm沈み込んだところが測定ポイントになりますから、カウントされるクランク角はカム作用角より小さな値になります。

最大リフト:

最大リフトとは、カムシャフトがもっとも大きくバルブを開けている(押している)ポイント。この位置をピストン位置(クランク角)を使って表します。
カムシャフトが左右対象に作られていれば、中心角と同じ数値になりますが、微妙に異なるケースも多々あります。
理由は、カムシャフトのプロフィールが左右対象でない場合や、カム先端は鋭く尖っている訳ではないので、最大リフト位置を把握し難いなどの要素が絡むからです。



仮に、1mmリフトで開き初め/閉じ終わりを計測し、中間をセンター角とした場合、
116度となったとする。同じ状態でカムの最大リフト時を計測すると120度と
測定したとする。
数値が4度ズレたのは、例えばカムプロフィールが関係している場合もある。
下のグラフの様で説明すると、
左右対象のカムであれば、クランク角とカムリフトを関係が黒線となる。
非対象のカムであれば、クランク角とカムリフトを関係が緑線となる。

リフター上部にダイアルゲージ端子をあてて、カム山がもっともリフターを押し下げているポイントを測定します。
カム先端は鋭く尖っているわけではないので、最大リフトのクランク角は6-8度程の幅になってしまいます。
そのため、最大リフト前後3/100mm位のポイントを基準にして最大リフトポイントを割り出す事が一般です。

測定方法は様々であっても、もっと大事な点は、同一方法で作業を進めることです。
プロは自分にあった方法で幾つ物のエンジンを組み立て、自分流にデーターを収集します。
同じ方法を繰り返すことで、データーの比較検討を行い、次のステップに繋げていくのです。

可変バルブ・タイミング機構 :

カムシャフトをどの様にセットをするのか? 特性が変わるだけに難しいところですが、
アイドル域を安定させながら、トルクを持ち上げ、且つ最大パワーを引き出すセッティングがベスト・・・と行きたいのですが、これは単純にはできない。
ところが、これらをマルチにまとめた方法が可変バルブ・タイミング機構なのです。

油圧式のスライド・カムプーリー(マツダではアクチュエータと呼ぶ)が装備されていて、電子制御により油圧をコントロール。
アイドル、低速域、中速域、高速域などを細かく振り分け、バルブ・タイミングの進角・遅角を繰り返し、最適化を図ります。


アクチュエータを分解したところ。

進角時:

アクチュエータ内部の進角室に油圧がかかり、カムと一体化されているローターが進角方向に回転する。

遅角時:

アクチュエータ内部の遅角室に油圧がかかり、カムと一体化されているローターが遅角方向に回転する。

中間保持:
アクチュエータ内部の進角室と遅角室の両方に油圧がかかり、カムと一体化されているローターを一定の位置で保持する。

各運転状況による作動と狙い:

可変バルブ・タイミング機構は大変複雑な作動をするので、そのセッティングについては、難しいと考えます。
ただ、皆さんは、このページを通じて可変バルタイの狙いや作動から、バルタイセッティングの意図やコツの一端が見えるでは?と思います。

カムはエンジンチューニングでは欠かすことのできない重要なアイテムです。
マルハでは、クオリティーを上げながら、リーズナブルな価格を維持し、ラインアップを極力広げる様に常に努めていきます。

是非ご検討ください。

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