テクニカルアドバイス
For Roadster

テクアド 電気トラブル

マルハテクアド読者に質問。
"電気が苦手な人手をあげて!!。"
"ホーイ。"っと大勢の人が挙手。

そうなんです。 電気が苦手な人は多いです。
この手のトラブルは何故難しいかと言うと、そもそも電気は目に見えません。
配線は束になってチューブに巻かれていますので、コレもまた一本一本手にとって確認する事が出来ません。
電球のよな単純なトラブルであれば簡単なのですが、回路が詰まっているアンプなどが途中に介在すると話しが複雑になります。
しかもご丁寧にダッシュパネルの裏側に位置していることが多く、ブレーキやクラッチペダルを舐めそうになるほど頭を滑り込ませて格闘。
ソレでなくても短気なマルハ陣営。ヒックリ返って格闘すれば尚更 頭に血がのぼります。


外車の場合、回路図が手に入ればラッキー。図面片手に電源を追う事が出来ます。
ところが意地悪いディーラーは平行輸入車はもとより、正規ものでも自分の所以外からはあまり資料を出したがらない傾向にあります。

ロードスターの場合は、電気回路図がチャンとありますから比較的安心して仕事が受けられます。
ところがマルハには色々な車が入庫します。

例えば写真の車はボルボ。

 

ヒーターのファンが動かなくなったので、入庫。
電源を追っていく事でリレーにたどり着いた。

ココでリレーの新品を注文すれば良い訳ですが、何せ外車部品は高い。
モノも直ぐには入らない。

だから、一度リレーを分解。



焦げている(ショート)様では諦めますが、ハンダの接触不良程度であれば
直す事は充分可能です。

電気部品がエンジンルームにある場合は防水処理がしてあっても湿気、熱、振動などでのトラブルで修復は難しい場合が多いのですが、室内の部品の場合は回路自体は生きていることも珍しくありません。
殆ど100%が非分解部品になっています。
つまり、壊れていたら修理などせずに交換しろ っと言うことです。
写真のボルボのリレーも例外に漏れなく、本来は交換対象部品です。
ところが我が社のDr.Mはリレーをマジマジ見つめて、ハンダの状態を確認。

お見事。御命中。

部品代は掛からず、ユーザーにとってもあり難い修理になりました。

勿論なんでもかんでも直せる訳ではありません。
正確に言えば回路図があれば、直せない回路は無いのですが、時間との比較になるわけです。
数千円の部品に対して何時間も掛けていたのでは修理代が掛かりすぎてしまいます。

ただ、簡単に諦めないで、少しは努力も必要。
日産のスカイライン、シルビア辺りのA/C部デジパネも直した事が何件かありました。

サーキットテスタ−は今やデジタルのもが主流です。
私が丁稚となっていた頃は、アナログのもので教えられました。
今でも両方使います。
デジタルは単位の修正が不要なので測定は非常にラクなのですが、場合によってはアナログ表示のモノが必要になります。
マツダのダイアグ機能はインジケーターの点滅の代わりに、サーキットテスターの針の振れで確認します。
また、針の動きは測定値の変化の具合が簡単に判断出来たりします。

要するにどちらも必要な訳です。

電気トラブルで一番困るのが、時々症状が出るトラブル。
マルハに持ち込んでくるときは大抵正常作動。
正常作動している限りは直しようがありません。
早い話し、電気はON,OFFの繰り返し。
ON(導通)になっているのであれば、ハンダが浮いていようが、配線が断線しかかっていようが、テスター上はOK。 だから電気トラブルは難しいのです。

いわゆる勘所が勝負になりますが、勘所は全くの勘ではなく、経験や知識から来るアタリを付ける事です。
勝負に負けると1日掛かってもトラブルの原因が発見できません。

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