テクアド オイル管理
皆さんの多くが最寄のガソリンスタンドや大手カーコンビニでオイル交換をしていることと思います。
軽快な音楽がガンガン響く広い店舗内で数多くディスプレイされたオイル缶を前にしていると、オイル交換後のエンジン音の変化や吹き上がりの良さに思わず期待したりします。
財布と相談しながら、100%化学合成のオイルにしようか、チョッと抑えて安めのSALE品で我慢しようか なんてアレコレ考え込んでしまう。
こんな経験は必ずあるはずです。
でも その前にもっと肝心なことがあります。
1. 定期的に交換をすること。
2. 抜いたオイルを必ずチェックする事。
1は自分でメモなどを残しておけば次回オイル交換時期は簡単に管理できます。
2の抜いたオイルは見たくても見れない、これが実情。
抜いたオイルをチェックする事がどれほど大切なのか本当に理解している人は少ないかも知れません。
アメリカでは抜いたオイルを有料でチェックしてもらえるシステムすらあります。
オイルの中に何がどれほど混入しているかで、エンジンのどの部分がどのくらい摩耗、消耗しているのか分析するのです。
レースエンジンの様に頻繁に分解するのがもっとも確実に内部の状況を判断する方法ですが、一般車に当てはまる訳がありません。
ならば、抜いたオイルをしっかり確認する。
これが一般ユーザーに出来る唯一の方法。
マルハではエンジンオイルの交換工賃は頂いておりません。
誰が来ても、何回来ても工賃は無料です。
オイルもREDLINEやMOTULを筆頭に各種を在庫していますが、価格も極力抑えています。
つまり、当社ではオイル交換はある種サービス品の対象として考えているのです。
Q:"抜いたオイルはどうせ真っ黒で、何を見ろと言うのでしょうか?"
こんな風に考える人がいると思います。
ところが、長い間整備をやっていると抜いたオイルから色々な事が分かるのです。
例えば、
1. 抜いたオイルの量が少なければ、オイル消費を疑う。
2. 手で触ってオイルのサラサラ感を確認、定期的交換なのか長期使用なのか判断。
3. 匂いから良く回すエンジンか普通乗りかを判断。
4. 金属紛から内部の摩耗を推測。
5. 金属片を発見したらアウト。
6. 気持ち白濁していたらヘッドガスケットやラジエーター(ATの場合)のダメージを確認。
7. ついでに各部のオイル漏れもチェック。
8. ドレーンボルトのアルミワッシャーは必要であれば新品に交換。
9. 最後に確実にドレーンを締める。
10. そして、エンジン始動、空ぶかし、調子を確認。油量チェック。
何気なくこれだけのことをオイル交換時に行います。
文章にすると何だか大袈裟ですが、実は当たり前のことなのです。
何処のガレージでもしっかりしたメカニックは確認しています。
ただ、アルバイトで経費を削減している、売るだけが目的な様な所ではとてもではありませんが、期待できません。
冒頭で掲載している写真はB6のピストンです。
エンジンO/Hをしたのですが、残念ながらオイル管理が少しラフだった様です。
内部を分解した時のものをさらに以下に掲載いたします。
ストレーナーのネットはスラッジで網目が詰まりかけています。
このストレーナーから供給オイルを吸い上げる訳ですから、非常に大事な部分となります。
カム周りもスラッジでテンコ盛り、最もスラッジが溜まる箇所です。
そして、完全に綺麗に洗浄する術はO/H以外にありません。
添加剤程度や、ましてや慌ててオイル交換をしても完全にクリーンにする事は不可能です。
分解後も私が特殊洗浄剤を使い、最後はブラシを使って徹底的に洗浄しました。
DIYショップで売られているお湯に溶かすクリーナーは使う事もありますが、とてもここまでスラッジを分解できません。
最後は丁寧に手作業になります。
このエンジンは、ピストン、ロッド、ポンプ類は新品交換。
こちらのアドバイスを快く聞き入れて頂いたので、非常に調子の良いエンジンに組替える事が出来ました。
皆さんの車もオイル管理を怠っていると、同様な状況になっている可能性は大きいです。
ノーマルだから、通勤仕様だから、あまり回さないから、自分に都合の良い様に考えても
機械は機械。言い訳なしでコンディションを落とします。
先ずは、オイル管理からです。
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