テクアド ジャガーの検証
今回は高級車ジャガーを少しかじって見ます。
当社は外車の駆け込み寺の様になっています。
並行輸入車でディーラーから相手にされない。正規ディーラーの高額請求に納得できない。
理由は色々あるようですが、実に様々な外車が入庫してきます。
写真のジャガーは95年式・直6・4.0L・ソブリン。
随所に古典的システムが見られたり、感心させられる部分があったりして、じっくり眺めていると個性が見えてとても面白い。
1 フロントサスペンション
ダブルウィッシュボーン。流石伝統の英国車です。
ロードスターとほぼ同じ形状です。
見てください このスプリング。今にも飛び出しそうです。ローダウンの依頼はジャガーの場合受けたことがありませんが、このスプリングはチョット触りたくないタイプ。
車重があって、乗り心地を良くするために太い線形で巻き数を多くしています。
取り外したら かなり長い自由長になると思います。
作業はチョット危険で怖いです。
専用のスプリングコンプレッサーもありますが、外車のバネは凄く強いので国産に比べるとかなり慎重な作業になります。
2 リヤサスペンション
何とアッパーアームがありません。
ロアアームだけで どのように支持するのでしょうか?
キャンバーなんかグラグラしそうです。
ドライブシャフトがロードスターとは違っていて、ユニバーサルジョイントを使っています。
ロードスターの場合はボールベアリングタイプのジョイントを使っていて、回転抵抗を少なくしています。
またタイヤとの距離が変化してもシャフトがジョイント部で多少吸収できるようになっています。
ジャガーの場合、ユニバーサルを使っています。
距離(長さ)は完全固定のため、このシャフト自体がアームの役目も行っています。
さらにシャフトはハブの中心に位置しているため、アームとシャフトの一体構造はジオメトリーの変化に強く的確なタイヤ接地を実現しています。
タイヤサイズが225/60−16と非常に大きなタイヤです。
トルクがあれば回転数を抑えても充分にスピードが出せるサイズです。
4000CCの大排気量は充分なトルクを発生します。
高速回転をしない前提ならばユニバーサルで良いと言う考え方だろうと推察します。
しかし凄いサスペンションです。
日本車では考えられません。
3 ブッシュ
フレーム/メンバー間は全てブッシュが介されています。
メンバー/エンジン間もマウントを介しています。メンバー/ミッション、デフ間もブッシュが介されています。
つまりどの部分もブッシュだらけで、ソフトな乗り心地と音に対策されています。
ブッシュを多くすると当然クイックな反応は望めませんが、車のコンセプトが高級車の場合、快適なものを追求している以上こうなります。クラウン、セルシオもこの辺りは同じ事がいえます。
4 エンジン制御
ホットワイヤーを使ったタイプです。後は基本的なもので特に凄いといったものはありません。
ばらせば中身は凝ったモノがお目にかかるかも知れません。
ちょっとさわりをカタログより抜粋
全体的なインプレッションはトルクが厚い優雅な走るソファと言った感じです。
日本車ではこの感覚を味わったことはかつてありません。
全体的なエアロフォルムは独特且つエレガントで、日本車がその各部を模倣しています。
トヨタでもなんとなく感じが似ている車種があります。
ジャガーはレトロでもあり、ハイテクでもあり、エレガント且つ高級でもあり、サイズ的無駄でもあり、でくの坊でもあります。
日本でのステイタスはメルセデスほどでもないにしろ、オーナーは医者と直感してしまう辺り、何かしらのインテリジェンスを感じます。
イギリス車の内装はローバー系も同様に非常にレザーの使い方上手です。
タン系のレザーとウッドのコンビネーションはいかにも高級な英国の雰囲気をかもし出し、これらのムードは現在のミニですら感じることが出来ます。絶妙なコノリー感覚です。
イタリア(ランチアやマセラッティ)とはまた別のレザー感覚です。
例えば、トヨタのプログレが最近のトヨタにはない、気品ある内装になっています。
何処から見ても英国の感覚を取り入れていることは明白で、落ち着いた高級感を感じます。
ロードスターがイギリスのライトウエイトスポーツと比較されて販売され始めたのが、1989年のこと。
ロータスエランやMGなどとの比較対照にされていました。
しかし、今思うと 初代ロードスターの感覚はやはり英国車を好む日本人による日本車のテイストであり、現在のロードスターはアメリカ意識を感ずるモディファイであるように思えて仕方ありません。
VスペシャルがBRGのカラーを意識していようとも、タン系のレザーで内装やナルディで固めていても、やはりヨーロッパを意識する日本人の感覚なのです。
違った見方をすれば世界中で大ヒットした車造りは賞賛に値するもので、その独特のオリジナリティを世界中が認めたことになります。
やはり多くの人から愛されるべき車は必ず独特の雰囲気があります。
ここで敢えて独特と言い切るのは、実際にロータスエラン(60'S)と横に並べて比較をすると分かります。
やっぱり雰囲気は違うのです。
そんなことを考えて改めてロードスターを見ると完全ノーマルのロードスターも決して悪くないです.。
チューニング屋のマルハとしては失言になりますが。
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