テクニカルアドバイス
For Roadster

日産SRエンジンとの比較

他社のエンジンを組むと、マツダとの比較が色々な箇所で出来て面白い。
それぞれのメーカーの考えや捕らえ方が見えてきます。

今回はプリメーラのSR・DE(DOHC/ターボ無し)のエンジンをB6・BPと比較しながら、少し触れてみます。
プリメーラは個人的には好きな車で、当時のJTCCで星野選手が活躍されていた頃はしびれました。海外でもBTCC(英国)でも非常に活躍したくるまです。
FFの4ドアはレース車両にすると、なんともアジが出てきて、"ファミリーカーがこんなになるのか"と感心してしまいます。

注目ポイント
1) アルミブロック、実際に抱えてみると結構軽い。BPは結構重い。
2) クランクシャフト部ラダ−フレーム。

しかも#1〜#5の全てのジャーナルを保持する堅牢なもの。振動対策には絶対の効果あり。ホンダ,スバルは#2〜#4までしかフレーム対策をしていない。マツダはフレームすら無い。
3) メタル適合をメーカーがしっかり行っている。マツダは1つのメタルサイズで対応。
参考資料として、メタル・ベアリングの選択表を添付します。
 



クランクジャーナルの直径は4段階(0,1,2,3)に分けてカウンタ−部に打刻がされています。ブロックハウジングの内径はブロック隅に同じく4段階(0,1,2,3)に分けて打刻があります。 コンロッドも同じ方法です。
例えば、ジャーナルが#1でハウジングが#1だったら、STD2(緑色)のメタルベアリングを使えば良いわけです.勿論当社では、各部を測定してから打刻表示と比較しながら組み付けをするのですが、それにしてもメーカーの真面目さが出ています。

さらには、コンロッド肩口のオリフィス、
   

タイミングチェーン、Yの字型ピボットアーム、
ナトリウム注入バルブ、そして社外のチューニングメーカーの存在。
今回使用のピストンは、TOMEIの鋳造品。

鋳造と言えども、各部の出来は非常に良く、旋盤の引き目、寸法の精度の高さ、重量、肉抜き加工の巧さ、また昨今の鋳造技術はかなりの進歩があり、鍛造に負けない程の強度も確保できているとのこと。兎に角精度は出ていました。ピストンピンの内側の軽量処理も素晴らしく、恐るべしTOMEIパワードといったところです。

よそを誉めていても仕事になりませんが、良いものは仕方ありません。

B6,BPが流用ではなく、専用設計だったら もっと面白いロードスターになっていたかもしれません。