GT−RのミッションをO/H
今回は日産GT-R(BNR32)。
ミッションントラブルで入庫。
4WDのGT-Rのミッションを下ろすのは結構大変な作業です。
なんと云ってもデカイ。大人二人で床から持ち上げることすら出来ません。
因みにロードスターのミッションくらいなら、一人でも充分に持ち上げることは可能です。
ところが、当社ではこのGT-Rのミッションすら一人で脱着します。
“人件費の節減”といった辛口な理由ではなく、単純にまわりに声を掛けてもみんな自分の仕事で一杯一杯なので一人で作業した方が早い、といった孤独感を巧くパワーに変換させることで難局を乗り切ります。
活躍するのは、テクアド別項で紹介したエンジンスタンド。
アッセンブリでエンジンを脱着させる事も出来るこの便利なスタンドはGT-Rのデカミッションもガッチリ確保。
従い一人でも作業ができるのです。
一般プライベーターの方は絶対にまねしないで下さい。
間違い無く死にます。
設備の充実は安全性と確実性の為への投資なのです。
ミッションのO/Hはギアさえ欠けていなければ、基本的にはベアリングやシンクロナイザーの交換が主体になります。
これはロードスターのミッションも同じことです。
GT-Rの場合はセンターデフが余分に付いていますが、この部分を外せば他の5MTと基本構造は同じ。
写真のパーツが取り換えたパーツです。
ミッションの脱着、分解の作業 加えて交換される基本パーツ。
それなりの金額は掛かります。
ロードスターのオーナーには“どーせ 壊れたら中古を載せかえるから心配ないね。”
などと可愛げのない中古部品フリークもいますが、そりゃ仕方が無いなと納得しつつも、
まあ 最後にチョット話を聞いてください。
ミッションを壊す原因は耐久性よりも操作によるケースが多いのです。
- 回転差を大きく取ったシフトチェンジ。
- 無理なエンジンブレーキ。
- クイックシフトによる操作ミス。素早い不確実なシフトより確実なシフト。確実なシフトはレバーを通じてシンクロの動きを感じることが出来ます。
- クラッチ切れの悪い状態での操作。しっかりペダルを踏んでいなかったり、他原因でリリースシリンダーがしっかりストロークしない。
- クラッチディスクの劣化により引っ掛かりがある場合も切れの悪さになる。メタルディスクによる、フライホイールやプレッシャープレートの劣化も同様です。
- 定期的なオイル交換。オイルの選択も難しい。ある程度熱を持ったあとでも粘度の落ちないオイルが望ましい。あまりシャバシャバなオイルは抜くとギラギラと光った鉄粉が目立つ。硬すぎるオイルはシンクロの動きを悪くしてシフトが硬くなる。
- 極端に圧着が強いクラッチを仕様する。
エンジンの回転を巧く合わせて無理のないシフトを心掛けるのはとても大事なことです。
乗っていてシフトチェンジの度に車がギクシャクする人がいます。
“これじゃー壊れちゃうなー”と心の中でつぶやきながら同乗する事も結構あります。
星野選手や土屋選手もレースカーの扱いは本当に確実なシフトをします。
こんなに遅くても大丈夫かと思うほど余裕をもって、チェンジしています。
漫画の目に見えないシフトより実際にはリズムの良い確実なシフトが正解なのです。
これが、壊さない且 タイムのでる操作と云えます。
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