今回のDr−MrレポートはF-カムとECUの話。
カムを交換する場合、ROMチューニングやフルコンの必要性に関し多くのユーザーからご質問を受けます。
パワーが上がる分、点火時期や燃調の見直しを考えられているわけですね。
確かにエンジンがECUによって制御されているのであれば、ECUの再調整は必要なのは言うまでもありません。
ただ、ものには許容範囲が在ります。
全てをベストセッティングとするのか、ある程度そこそこで様子を見るのか、コレはユーザーの判断にもよるものです。
それではどうぞ! |
残暑厳しいおり、皆様いかがお過ごしでしょうか?
マルハ一同なんとか夏休暇もとることができ、心身リフレッシュしてがんばっております。
しかし、相変らずの多忙で早くも業務開始一週間でメカ1人エンジンブローしてしまいました。
休養タップリ、ベストセッティングだったのにおかしい? 回しすぎたかな?
さて、セッティングと言えば、最近はエンジンのコンピューターセッティングの作業も非常に多くなり、キャブの作業を大きく上回る様になりました。
これも時代の流れかな?と考えます。
今回はマルハ最新のFカムとコンピューターチューンで面白いデーターをレポートいたします。
ポン付け可能、アイドルも安定、高回転でのフィーリングの良さ、そして何よりもリーズナブルプライスのコンセプトで販売しております。
B6./BPどちらのFカムキットも大変好評で多くのご注文を頂き、開発担当としては喜んでいる次第です。
よくユーザーよりコンピューターはどうしたら良いですか?と御質問があります。
先ずは下の比較グラフを見て下さい。
見やすい様に縦軸を拡大しています。
赤:ノーマルECU (ラインA)
緑:チューニングECU (ラインB)
【NA6CE ・ マルハECU制御】
モデルはNA6CE B6ノーマルエンジンにマルハFカムキット組込み
スポーツタイプエアークリーナー エキゾースト系はノーマル・キャタライザー付き
ラインAはノーマルコンピューターによる空燃比曲線。
ラインBはROMチューンで調整後の空燃比曲線。
パワーはノーマルコンピューター+Fカムで約135ps
ROMチューンで空燃比調整後約142psです。
この暑さで密閉されたシャシダイ室の温度は40度 吸入空気温度は約50度に達し、
最悪の条件下でのデーターです。
約3000rpmで変速し4速で7200rpsまで加速。
ノーマルデーター(ラインA)では前回のレポートした様に明らかに中速領域までは薄めの空燃比。
そして、加速領域に切り替わりレブまで濃い目にセッティングされています。
最後の跳ね上がりはレブリミッターが作動したものです。
BPエンジンでも同じような空燃比特性になります。
特にNA系/NB系共にBP(1.8L)エンジンでみられるノッキング現象が多いのもこの3000rpm〜4000rpmの領域です。
定番のスポーツタイプクリーナー装着による吸入空気抵抗の低減を図るものの、剥き出しEXマニホールドで熱風を浴びるクリーナー周辺。
そして薄い空燃比と悪条件が揃いすぎてしまい折角の高価なチューニングパーツも性能を生かしきれず、
ノッキングとパワーダウンのマイナス要因を発してしまいます。
チューニングというのはバランスが大事なんですね。
ただ、パーツを装着するだけでは活かし切れない事が多いのです。
エアクリーナーと吸気温に関するレポートはまた違う機会で説明いたします。
メーカー設定(純正)の高負荷領域での濃い目のセッティング。
これらはエミッションやエンジンの耐久性等含め色々とメーカーの思惑があってプログラムされるものです。
つまり、ある程度の許容範囲が最初からあるわけなのです。
言い換えれば、ノーマルコンピューターではダメと明言出来ない訳です。
そもそもが、ノーマルコンピューターでも十分使えるからこそ専用設計しましたFカムなのです。
ただ、各所でより最適なコントロールをすればさらに効果が得られます。
また、安全マージンを確保しながらチューニングを進めていくのが基本なのです。
マルハの本領発揮と言ったところです。
中速領域は基本噴射量において燃費を考慮し僅かに増量しトルクの向上を狙い、高負荷領域はマージンを考慮し、
A/F 12の後半までの減量で馬力を絞り出す。
そして、もうひとつ重要なのが点火時期の最適化です。
燃料のセッティングがある程度決まってくればその後点火時期を多少上下変化させ、最適なポイントを更に探っていきます。
時にはクランクプーリーに目盛りを施し、全開で回っているエンジンにタイミングライトを片手に頭を突っ込み目視点検することもあります。
回っているエンジンはMAXパワーに達し、車体の速度はローラー上とは言え、時速180kmを超えています。
言わば命がけのセッティングなのです。
【NA8C Sr−1 ・ Freedom制御】
下記のグラフはNA8CのSr−1 BP。
ノーマルエンジンにFカムキットを組み込み、エアフロを止めてFreedomを使用。
D制御でコントロールしたものです。
純正O2センサーと空燃比計両方設置し、キャタライザーはレスの状態です。
MAXパワーは162PS/7,200RPMを記録。
ユーザーもビックリする様な成果が得られました。
ROMチューンに比べフルコンは少しコストが上がりますが、調整幅が広い分よいプログラムが出来ます。
また、後に4連インジェクションなどへのステップアップにも有効です。
【総論】
1600/1800という小排気量の量産NAエンジン。10馬力前後と僅かながらでもパワーアップさせるのは大変難しく、
反面開発メカとして非常に面白い作業でもあります。
そんな我々が自信を持ってお勧めするのがハイカムに対するECUチューニングです。
数値的にはそんなに激変はしないのですが、扱い易さやフィーリングの良さは絶品
予算に余裕があれば是非、専用コンピューターと含めてご使用下さい。
紅葉の時期をもう直ぐ向かえ、峠に入り浸ること間違い無しです。
|