Dr.M レポート2 |
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ROMチューンかフルコン制御か 季節も暖かくなり、スポーツ走行解禁でサーキットへ通う方も増えてきました。 マルハもお陰様で作業以来も多く、スタッフ一同昼夜を問わず時間に追われこちらも工場狭しと走り回っています。 そんな毎日の中、電話相談は相変わらず非常に多く、特にコンピューターに関する物が多い様に思います。 * マルハのROMチューンは安いが大丈夫か? そのように思うなら値切らないで下さい。と言いたいのですが。 * キャブレター使用だが点火制御はフルコンを使用したいけど方法は? * 4スロキットを取り付けたいけどいかがか? などなど当社の製品、技術に関するもの。または、ご自分で作業をしたいけどノウハウを教えてなど様々。 それらの中で最近気になったことがあります。 ROMチューンとフルコン。どちらが優れているか? インターネットや雑誌等で情報が飛び交い、皆様混乱していらっしゃるようです。 エンジンはノーマル、定番のエアークリーナーとエキゾースト系。 プラスコンピューターで20馬力さらにフルコン制御でもう20馬力アップ。 トルクも20kgm この調子でボアーアップ+ハイカムを組めば300psも夢ではないと錯覚するほどの夢のようなデータ、本当ですか? すごいですねと私から逆に質問してしまうほどです。 話が少し脱線してしまいましたが、答はどちらも有効と私どもマルハはお答えします。 コンピューターは魔法の箱ではありません。部品の一部でしかないのです。 言い方を変えて料理で言うならば仕上げのソースです。残業続きでお腹がすき、つまらない例えとなりますが味の決め手はソースによって 決まりますが、豚しょうが焼きがサーロインステーキになることはありません。 まずは健康なエンジン本体、圧縮がキチンと保たれ、良い点火があり、スムーズな排気、これは絶対条件です。 そして制御です。捕まえた空気をいかに適切な混合気で最適なタイミングで燃やすか。 また、B6とBP、チューニング内容でもコンピューターの選択は違うのです。 <B6エンジンから説明しましょう> まずはROMチューニングからです。 簡単に燃料噴射についての説明から。 最終噴射時間(実噴射時間)=有効噴射時間+無効噴射時間で算出されます。 無効噴射時間とはインジェクターの作動遅れのことです。 バッテリー電圧に影響され電圧が低いと噴射時間は長くなります。 充電系の不良やバッテリー不良で燃費が悪くなる原因にもなります。 有効噴射時間は 基本噴射時間×各種補正係数の和で算出されます。 種補正係各数は主に水温や吸入空気温に影響されますが、 アイドルまたは巡航中水温80度 吸入空気温20度そして加速増量無しでほとんど0になります。 ですからサーモスタット不良で水温のコントロールが悪いとこれも燃費悪化の原因になります。 基本噴射時間は 係数×吸入空気質量または流量÷エンジン回転数で算出されます。 エアーフロメーターで検出した空気質量/流量を回転数で割ったものです。 よくターボ車で過給圧を上げ、大きなエアーフロメーターに変更する場合はここの所の数値を変えます。 係数にはインジェクターの噴射量 設定燃圧 基本空燃圧 基本空燃比などがあり、 1気筒あたりのインジェクター噴射時間を算出しています。 この際非同期の割り込み噴射など話が難しくなりますので一旦抜きで考えてください。 ROMチューンにおける燃調と言われるものはその補正の中の加速増量マップ(高負荷増量マップ)の数値を変更します。 メーカーによって名称がちがいます。 通常この高負荷加増量マップは吸入空気量および質量TPと回転数rpmの格子で形成され、 ロードスター以外の車種においてはエンジン始動中常にCPUからアクセスがあります。 しかしロードスターにおいてはB6/BPとも、制御をエンジン回転数とTPによりゾーン区分し空燃比制御を行っている為、 加速中一定の条件を満たさないと高負過負荷増量のマップにCPUがアクセスしません。 したがって中低速時のマップ上の数値をいくら変化させても実際何の効果もありません。 ここの所がB6/BP含めて一番の泣き所です。 ノーマル車では問題ありませんが、チューニング内容では燃料が薄すぎてしまい息つき感や失速につながります。 簡単に言いますとこのエリアを外れCPUが加速中と判断し増量マップにアクセスするのが約3800rpm以降、 そこで初めて燃料の増量が掛かります。 チューニングの基本は燃焼室により多くの空気を入れること、でもここでは逆にマイナス要因になってしまいます。 現在製品化されているものでユーザーの不満は3800rpm以下の使用時に集中します。 だからこそ我先にと新商品開発競争(数値重視)の中でマルハはあえて業界とは逆にフィーリングカムの製作をしました。 このFカムについて面白いデータが取れましたので後日報告いたします。 解決法はデータの変更ではなく、すなわちプログラムの解析によるゾーン指定の変更しかありません。 実際にはメーカーの協力がなければ大変困難なことです。 最近あまり見ませんがコールドインジェクションシステムやサブコンを使いエアーフロメーターからホットワイヤ式に変更、 名前が表すようにラジエターの上部から冷たい外気導入のインダクションボックス 一目見て素晴らしいと関心。 (類似品もありましたが現物をテストしたことがないのでこちらの評価は解りません。) テストの結果MAXパワーの数値はノーマルを上回りますが中間までが薄すぎフィーリングはもう一つ残念な結果でした。 続いてポン付けターボキット。 T社は過給が掛かると水温補正を使い一気に燃料が増量されます。 しかしフィーリングは薄い所から一気に燃料が増量されるので物凄いシャクリ感があります。 でも中にはこれがターボの特有のドカーンだよとおっしゃる方がいました。 思わず営業を忘れ、それは違うだろうと発言してしまいました。 H社の製品は前者に比べるともう少し上手に燃料を増量しています。 ただ両方ともフル加速中は濃すぎるくらい増量していますので良いのですが、問題は4速ないし5速で巡航中、 多少過給が掛かっている時ピストンが溶けるのではないかと思うくらいの薄い空燃比です。 理由は上記の通り、NAのまま14.7の空燃比で制御しようとしているからです。 日本の交通事情が長距離をアクセル一定での巡航をさせないから持ちこたえているのでしょうか? マルハでは何度もターボエンジンセッティングの作業を受けていますがROMだけでは対処できず、 メーカーの増量装置を取り外しイジェクターの大型化と可変フューエルプレッシャーレギュレーターの合体で何とかしのいだ例もあります。 最近LSD取り付けの仕事でNA8Cが入庫しましたが、テスト走行で中速時ノッキングが感じられ、 およそパワー感も悪い燃料が薄いとそのときは判断し、 ユーザーに問うたところビックスロットルを装着しているとのことでした。 私はまだ、実際にRSでビックスロットル装着車のデータをキチンと見たことがありません。 本当に効果があるのか?マニはノーマルでも効果あるのか?興味大有りです。 我こそは一番と自負する方は是非一報ください。一緒に研究しましょう。 参考までにいくつか事例を出しましたが決して製品の不評ではありません。 チューニングメニューとコンピューターの組み合わせが悪いのです。 当社でも4スロをノーマルCPUで制御するという企画が当初はありました。 FISCOでは狂ったように速かったですが町乗りでは充分な期待に添えるものではありませんでした。 大量にエンジンに空気が入る場合 どうしてもROMチューンの欠点がでてしまいます。 でも、小さめのハイカムと面研による圧縮アップそしてノーマルのマニホールドを使うならROMチューニングでも十分満足の得られる結果がでます。 使えれば便利だが中々難しいフルコンとは違い、ROMチューニングは、まず使うに困らないプログラムが既に出来上がっています。 あとは、ユーザーのエンジンに合わせ微調整するだけです。 ノーマルのコンピューターはエンジンの始動性、A/Cなどの負荷への対応 燃費など流石メーカーが作った物だと感心します。 メーカーの場合はどれ一つ不具合が一度でもでればユーザーから苦情殺到で対処に大変です。 フルコンの敵わない部分と思います。 でも、B6ではエアフロレスを考えるとフルコンの方が効果ありかな? ただし、難しいプロ級の製作ができると仮定の話しですよ。 この辺は次回解説したいと思います。 下記はM2 1001のデーター。 ノッキングがひどいため入庫し、オリジナルのプログラムを元にROMチューンによる再調整の結果です。 グラフは赤がオリジナル。 緑が変更後の性能曲線。
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